岩波新書
現代思想の断層―「神なき時代」の模索

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312055
  • NDC分類 134.9
  • Cコード C0210

内容説明

神は死んだ―ニーチェの宣告は、ユダヤ・キリスト教文化を基層としてきた西欧思想に大きな深い「断層」をもたらした。「神の力」から解き放たれ、戦争と暴力の絶えない二〇世紀に、思想家たちは自らの思想をどのように模索したか。ウェーバー、フロイト、ベンヤミン、アドルノ、ハイデガーらの、未完に終った主著から読み解く。

目次

第1章 マックス・ウェーバーと「価値の多神教」(ウェーバーの人間像―その詩と真実;アメリカへの旅で経験したこと;経済史から文化史を経て普遍史へ―キリスト教の意味;運命としての「合理化」のゆくえ)
第2章 フロイトと「偶像禁止」(イタリアへの旅;ユダヤ教と偶像禁止;ミケランジェロのモーゼ像;『人間モーゼと一神教』―「父親殺し」として;アイデンティティの自発的解体)
第3章 ベンヤミンと「歴史の天使」(ベンヤミンの方法、あるいは方法としてのベンヤミン;「ユダヤ神学」と「マルクス主義」―「歴史の概念について」の読解;「新しい天使から歴史の天使」へ;純白の未来―時間論の地平で)
第4章 アドルノと「故郷」の問題―ハイデガーとの対決(アドルノ対ハイデガー;キルケゴールと美的なものの構成;『啓蒙の弁証法』の成立;「故郷」の非神話化)
断層の断面図あるいは、「大きな物語」の発掘―あとがきに代えて

著者等紹介

徳永恂[トクナガマコト]
1929年生まれ。1951年東京大学文学部卒業。1962‐64年フンボルト研究員としてドイツへ留学、アドルノに師事。1976年イスラエルへ研究留学。北海道大学助教授、大阪大学教授を経て、大阪大学名誉教授。専門は現代ドイツ哲学・社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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harass

48
ベンヤミンの解説本で紹介されていたこの本が図書館にあったので借りる。ウェーバー、フロイト、ベンヤミン、アドルノ、ハイデガーの未完の著作からそれぞれの哲学者たちの模索を描く。正直、軽く読める本ではなかった。いい加減で読み捨てるのを前提としているような新書ではない。ある程度ちゃんと力をつけた後に再度チャレンジしたい。2017/03/22

amanon

3
取り上げられている思想家にそれ程精通していないため、理解の程は怪しいが、概ね興味深く読めた。個人的に驚かされたのは、大学で安定した教授生活を送っていたものと勝手に思い込んでいたウエーバーが実はかなり不遇な時代を過ごしていたということ。ウエーバーの伝記的エピソードは意外に知られていないということを認識した次第。またウエーバーだけでなく、本書で取り上げられている思想家全員が亡命を余儀なくされたり、大学の職を追われたりと、某か不遇な目に遭っているというのが印象的。それが彼らの思想の魅力になっている気がした。2014/10/23

keepfine

2
ウェーバーの渡米経験を踏まえたプロ倫の解釈とフロイトの解説はいいとしてベンヤミンにおける神学と唯物論の対抗関係という図式に意義を見出せない。「〜だろうか。」という独り言みたいな文体が多いのだがエッセイストならまだしも科学者としては致命的では。2019/01/26

ペンギン伊予守

2
岡本裕一朗『フランス現代思想史』(中公新書)と比較しようと読んだ。著者の力量、題材に選んだ思想家の重み、時代や社会との関係の密接さ、どれも本書が圧倒していた。アドルノの弟子は伊達ではないと言えばそれまでだが、古典への良い導きとなっている。2018/12/29

呑芙庵

2
再読。色々勉強してから読むと不満だらけな書であった。ヴェーバーの影が他の章に強すぎる、どうかと思う。2018/08/02

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