岩波新書
司法官僚―裁判所の権力者たち

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  • サイズ 新書判/ページ数 248p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312000
  • NDC分類 327.1
  • Cコード C0231

内容説明

全国の裁判官の人事や予算などの司法行政を担う最高裁判所事務総局。その幹部を構成する「司法官僚」とは、裁判官の衣をまとった行政官である。彼らはどんな経歴の持ち主なのか。判事たちをどのように「統制」しているのか。司法の消極性をもたらしているその実態を検証し、市民のための裁判所のあり方を提言する。

目次

序章 日本の司法のなにが問題なのか
第1章 いま、なぜ、司法官僚なのか
第2章 司法官僚は、どのように生まれるのか
第3章 司法官僚の支配の実態
第4章 裁判所をどう変えるのか
終章 司法改革の責任は市民にある

著者等紹介

新藤宗幸[シンドウムネユキ]
1946年神奈川県生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了後、東京市政調査会研究員、専修大学法学部助教授、立教大学法学部教授をへて現在、千葉大学法経学部教授。専攻は行政学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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mazda

27
裁判官の出世の話の中に、陸上勤務と海上勤務があるという、摩訶不思議な話が載っていたのが印象的でした。どういう意味かと言うと、陸上勤務は司法省に勤めている人のこと、海上勤務は裁判所から裁判所を渡り歩く人のこと、らしい。最高裁判所の事務総局に勤めている人が出世するのは間違いない、という話だが、裁判もろくに経験しない人がいろんな意味で力を持ってしまうのは、一体どうなのだろう?会社でも、文系の人が技術を仕切ったりしているから、大差ないと言えばないかな…?2014/06/12

リョウ

5
最高裁まで行った判事、そこまで行かなくても重要なポストを与えられた判事の経歴をみると、須く最高裁事務総局という司法行政を扱うポストを経験している。その一方で、中枢に行くこと叶わず、地方周りを続ける判事がいる。このような人事権の行使を通して、司法官僚となった判事による司法統制が働いているというのが筆者の主張。強制力はないものの事実上の影響を与えている部分は確かにあると思う。しかし、一定の枠がなければ組織を運営などできないし、安定性のない司法判断が下されることにも一定の配慮は必要ではないかとも思う。2014/04/27

けーすけ

4
「裁判官の独立意識が失われ、裁判内容までコントロールされ、官僚化が行き着くところまで行き着いた状況になった。その結果、新任裁判官の減少、中途裁判官の増加、裁判官の無気力化が進んだ」「司法行政が一部のエリート裁判官に委ねられた結果、裁判官の多くはプロフェッションとしての自負心と処遇の現実との乖離に苦悩している」司法に対する国民意識の低さは司法府の情報秘匿体質にあるとしても、裁判官の判決が妥当だからではないか。司法組織を見直す意味を込めて情報開示の必要性は否定しない。官僚化に伴う嫌がらせを批判した感じでもある2014/09/25

だまし売りNo

3
司法権の独立も危うい。裁判所は行政や検察と密接な関係にある。裁判官と検察官の人事交流(判検交流)が行われ、行政訴訟で国を弁護する訟務検事に就く裁判官もいる。その結果、裁判所が警察や検察の求めるまま令状を出していると批判される。裁判所が令状の自動発券機になっているとの揶揄さえある。2018/03/24

すぎやん

3
閉鎖的な裁判所内部における司法行政について現制度が作られるに至った経緯,現状の問題点,そして今後のとるべき道を示す。裁判所の対外的独立を堅持するための制度が,裁判官の対内的な独立を著しく脅かしている。改革の動きはあるが十分なものとはいえない。情報開示制度や裁判官会議の復権などの組織改革により裁判官の自立を果たすべきだと主張される/元来裁判官になる人たちは,教養と良識を持った優秀な者たち。彼らの自立性が高められれば,開かれた司法は自ずから実現する。願わくば,法の番人たる裁判所自らその改革を行ってもらいたい。2014/10/19

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