岩波新書
親米と反米―戦後日本の政治的無意識

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004310693
  • NDC分類 319.105
  • Cコード C0236

内容説明

日本社会は、特異なまでに深く親米的であり続けたのではないか。その感覚は、「反米」世論が高まったときすら、通奏低音として流れ続けていたのではないか。戦前戦後にわたる、大衆的なレベルでの親米感覚に焦点をあて、日本の近代や戦後天皇制、ナショナリズムの構造との不可分な関係について考察し、それを超えていく視座を模索する。

目次

序章 戦後日本は親米社会?
第1章 アメリカというモダニティ―「自由の聖地」と「鬼畜米英」
第2章 占領軍としての「アメリカ」
第3章 米軍基地と湘南ボーイたち
第4章 マイホームとしての「アメリカ」
終章 「親米」の越え方―戦後ナショナリズムの無意識

著者等紹介

吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年東京都に生まれる。1987年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京大学大学院情報学環教授。専攻、社会学・文化研究・メディア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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高橋 橘苑

13
レイノーさんの書評に影響を受け、興味あるテーマだったので読了。この本によると、日本は世界的にも稀な親米社会であると云う。又、他国の場合、ナショナリズムは反米と結び付くが、日本は逆に左翼側が反米と結び付いている。そもそも、なぜ反米的な指向を持つのか。その民族が持つ伝統や宗教といった価値観を、アメリカ的価値観に破壊・浸食されるといった側面はあるだろう。あと印象的だったのは「限りなく透明に近いブルー」は基地問題に絡む反米小説だったとは、この本で初めて知った。日本はもっと重層的な社会だと思うのだが、どうだろうか。

藤月はな(灯れ松明の火)

12
人類文化基礎論のレポートでの課題図書選びで「ポスト戦後社会」どちらも興味があって決められなかった(←優柔不断め・・・)ので読んでみました。資本主義化するアメリカに対する日本人の内在的アメリカ像の確定や戦後ではアメリカ軍による情報やメディア操作によって権威づけされたアメリカ軍像、富を象徴した「痴人の愛」に象徴されるアメリカ軍娼婦の権威の転落などが日本文化の特色と共に推察されていて興味深かったです。「反米、親米」では軍威的要素しか思いつかなかったのですが新たな視点を見出せたのが収穫でした。2011/05/01

かんがく

11
ペリー来航から小泉政権に至るまでの、日本によるアメリカ受容の歴史。戦後日本におけるアメリカの暴力(基地)と消費文化(ジャズ等)の二面性を、力道山、トニー谷、村上龍、ベ平連などを題材に描いている部分が見事。天皇とパンパンに見られるアメリカとの抱擁が戦後社会を作ったのだなと感じた。今後、軍事的にも文化的にもアメリカの絶対性は低下していくと思うが、日本の大衆の対米感情は変化するのだろうか。2020/12/30

Toska

4
看板に偽りありで、ほとんど親米メイン。副題の「政治的無意識」が関わるのも親米のみ(反米は寧ろ極度に意識的)。しかし、面白い。これほど日本がアメリカと「抱擁」しているのはちょっと予想外だった。とりわけ占領軍や基地が戦後日本の文化に及ぼした圧倒的な影響力。六本木や原宿までもが米軍にルーツを持っていたとは。しかも、これらは戦前の日本軍事施設を引き継いだ場合が多く、さらに占領期が終わると米軍自身が意識的にフェードアウトしていくから、アメリカニズムがごく自然に日本人の中で内面化するという効果があった。2021/12/07

Sota

4
戦後日本がアメリカ的な帝国の視線を内面化し、東アジアに真摯に向き合う態度を見失ってしまったのはなぜか。消費文化としてのアメリカが前景化するにつれ、暴力としてのアメリカは後退していく。その過程で、日本が主体的に行使した暴力の記憶も綺麗さっぱり流してしまったのかもしれない。慰安婦は「売女」だったと、私たちはどうして攻撃してしまうのか。そこにもしかして、自分たちがかつてパンパンを忘却していったロジックが持ち込まれているのかもしれないと思うとぞっとします。2017/10/01

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