出版社内容情報
改正「均等法」の下,専門職,OL,派遣社員やフリーター,フルタイム並みのパートタイマーなど,女性の働き方は多様化している.その実像を豊富なデータを通じて描き出し,性差別に抗して働き続ける方途を提言する.
内容説明
専門職、OL、増える派遣社員やフリーター、深夜勤やフルタイムの仕事までこなすパートタイマー…改正「均等法」の下、能力主義管理の進む中で、女性の働き方はますます多様化している。変らぬ職場の性別役割意識に不満をくすぶらせながらも、働き続ける彼女たち。その実像を豊富なデータで描き出し、性差別に対抗する戦略を提言する。
目次
1章 女性労働をみる視点(女性労働―到達の地点;私の関心と方法)
2章 企業社会のジェンダー状況(女性労働者の分布;五つのライフヒストリー ほか)
3章 「男の仕事」・「女の仕事」(「女性の特質・感性」とはなにか;性別職務分離の職場 ほか)
4章 女性たち自身の適応と選択(ジェンダー意識の一般状況;専門職とOL―若い女性たち ほか)
5章 ジェンダー差別に対抗する営み(職場の性差別に対抗する思想;職場の性差別に対抗する手段 ほか)
著者等紹介
熊沢誠[クマザワマコト]
1938年三重県に生まれる。1961年京都大学経済学部卒業。1969年経済学博士。専攻は労使関係論、社会政策論。現在、甲南大学経済学部教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
25
この本が書かれた頃よりも社会構造は変化し、非正社員率は増え、所得も低くなったと思われる。「女性である」ということだけで女性は男性からも女性からも差別されていないだろうか。ここに書かれているような男性中心社会の無理解ということももういいかげん脱却して、女性だって仕事も妊娠・出産も体験できるんだしすごく充実してるんだよ、と子どもに教えられるような社会にしていかなければいけないと思う。2013/03/22
モッタ
7
★★★☆☆ 10年前の本であったので、社会の状況が変わっているところが多いのでデータはいまいち参考にはできない。しかし、企業における女性の働く環境は今も昔もあまり変わっていないと思う。2013/01/13
バイオ燃料
2
約20年前に取り上げられる女性労働問題は何か気になり手に取った。ざっくり言えば、男性稼得者モデルや日本型雇用の中で賃金格差や性別職務分離が激しく、その中でどう家庭生活と折り合いをつけるか、といえるだろう。生々しいライフストーリーから始まるこの女性労働問題は、今では是正に向かいつつあるが、かつては深刻な状況にあったことを物語る。勉強不足な面もあるが、ここで扱われる統計資料と、性別職務分離の論理は個人的に興味深く、なぜこの状況が解消しきれていないかを説明してくれると感じた。2018/11/22
カモメ
1
真新しい試みも多くて凄く良かったです。「女性の男性の仕事への進出」だけではなく、誰かが割を食う雇用区分そのものを批判していたのが共感できました。定型的な仕事であっても「価値が低い」とは言えないし、正社員と賃金を区別する正当性は見当たりません。正社員に「生活態度としての能力」を要求する評価も変えていかないといけません。また、女性が適応せざるを得ない環境にも触れられていて嬉しかったです。2017/05/21
かずら
1
男女雇用機会均等法によって働くことはどう変わったのか。女性の働き方についての本。十年以上昔の本ですが、女性の非正規雇用率は依然として高い状況にあり、まだ「男女格差はない」とは言えない時代ではあります。男性並みの労働をしなければちゃんとした労働とは認められない、というのはなかなか解消されない問題です。結局のところ、男女問わず短時間労働という働き方がもっと社会的に認められてもいいと思います。もちろんフルタイムで働きたい人は働けばいい、というのは前提で。言うは易く行うは難しですけれども。2015/05/03