岩波新書<br> 心の病理を考える

岩波新書
心の病理を考える

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  • サイズ 新書判/ページ数 208p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004303596
  • NDC分類 493.71
  • Cコード C0247

出版社内容情報

精神分裂病者には共通して独特の不自然さが感じられる.その意味を解明すべく,フロイト以来の精神医学史をたどり,「人と人の間」「主体性」「時間」等の概念を駆使して,現象学的に精神病理を捉える.さらに心と身体,生命論と精神病理,進化論と人間の存在との関係など,分裂病の本質に迫る長年の思索と研究の成果をわかりやすく語る.

内容説明

心を病むとはどういうことか。精神分裂病者に共通して感じられる独特の不自然さの意味を解明すべく、フロイト以来の精神病理学をたどり、「間」「主体性」「時間」等の概念を駆使して、現象学的に精神病理を捉える。心と身体、生命論と精神病理、進化論と人間の存在との関係など、長年の思索と研究の成果を分りやすく語り、分裂病の本質に迫る。

目次

1 こころを病むとはどういうことか
2 精神病理学の歩み
3 精神病の本質をさぐる
4 生命論と精神病理学
5 分裂病と進化論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たりらりらん

12
著者の「あいだ」などの発想がどのような成り行きで誕生したのかということを、精神病理学の歴史と私史とともに語られている。哲学をもっと勉強しなければいけない私にとっては、現象学、実存の問題などは勉強して読み直さなければいけないところでもあるが、著者の考え方についておおまかに理解することができる。概念の一つ一つを見たい場合は、他の書で補う必要がある。特に「分裂病と進化論」の章はすばらしい。著者が繰り返し書くように、二項対立として書かれているものが、実際は「対立」する概念ではないということが大切。2011/02/16

Bartleby

4
妄想は、その人が「現実」を生きるために応急的に採用されたもの。それを理屈で説得しようとしても無駄だし、薬でむやみに妄想だけ取り除くと生きられなくなり自殺してしまうこともある、という話は目を開かされた。たぶん精神病でない人でも、その人格は生きる術として身につけたものだとしたら他人が簡単に変えられないし、変えてもいいものでないのは同じだと思う。精神科医のできることが、その人が別の生きる術を見つけるもらう手伝いをすることだとしたら、それがどれだけ難しいものなのだろうと、思わされた。2011/08/02

Hiroki Nishizumi

3
非常に真摯な姿勢で執筆されていることが伝わる。内容はかなり難しく、主観と主体、時間の生き方など表面的にしか分からないところが多かった。いずれ再読が必要になるかも知れない。2021/08/16

あなた

2
思いこみと病的な妄想の違う点は、妄想は論理的説得を一切受け付けない点だと述べている。精神病理と現代川柳はちょっと似ていて、現代川柳に、それ違いますよ、それってあなたの感想ですよね、といっても論理的説得に応じないと思う。「妖精は酢豚に似ている絶対似ている/石田柊馬」。このときこの「絶対」をくつがえす論理はない。酢豚が妖精に似ているかどうかが問題じゃなくて、似ている絶対似ている、と本人が思ってることがこの句の核だから。そしてこれが川柳が構成しようとしている現実なんだと思ってる。川柳マジックリアリズムとゆうか。2021/12/02

アルゴン

2
★★★★ 分裂病(今でいう統合失調症)のメカニズムを、哲学の観点から解釈しようとしています。神経物質の分泌異常で説明できることではあれど、その根底には世界の認識の異常があるという主張にはなるほどなと思いました。しかし昔の新書はかなりの基礎知識がないと読むのに骨が折れます。2018/03/09

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