内容説明
本篇には、大西祝の代表的な批評的論稿を集成する。カントの批判主義を深く理解して継承した大西は、自主・独立の精神の確立と発揚なくして、学問・文化の真の発展はありえないと主張した。哲学、文芸、宗教、政治、社会等、事々万般に対する透徹した考察によって明治中期の学界・論壇を領導し、甚大な影響を与えた。
目次
和歌に宗教なし
哲学一夕話第二編を読む
批評論
日本人は美術心に富める乎
方今思想界の要務
教育の目的
徳育について一言
道徳主義に就いて加藤博士に問う
倫理学は哲学か将た科学か、元良勇次郎氏の論を評す
詩歌論一斑〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
18
人生 根帶無く 瓢として陌上の塵の如し(19頁)。塵の人生。はかない。日本人が美術心に富んで居ると云う一事は、此上(こよ)なく大切な事(46頁)。学問には学問の教育を要し、道徳には道徳の教育を要する様に、美術にも亦美術の教育がなくてはならぬ(56頁)。基督教で云えば教育の目的は、人間に現われて居る神の像(かたち)を全うするにある(76頁)。美の境堺は必要上の束縛を脱して自由を覚え、余裕を覚える所に有と思われます(172頁)。2014/12/25
シンドバッド
5
Ⅰの哲学篇よりこの評論篇の方が、私には圧倒的に、わかり易かった。また、島崎藤村『桜の実の熟する時』に、大西祝に言及されていることも知り、評論での力量も、若い時からあったことを知った。 このⅡから、読み始めるの一つの選択。2014/07/22
大臣ぐサン
1
明治の哲学者、大西祝の著作集。その評論篇。ジャンルは和歌、宗教、教育、文学、哲学など多岐にわたる。が、個人的にはあまり乗れず。どうも他人の批判が多いようで。2015/09/24