内容説明
マルクとの関係がついに破綻し、打ちひしがれるヴェーラ。従妹の宿命的な場面を目撃したライスキーは思わずつぶやく―「単純な生活でも、その真実をむき出しにすれば、何という巨大さ、恐ろしさだろう!」と。物語はいよいよ完結を迎える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
3
ついに断崖全5巻を読了。予想以上の当たりだった。ライスキーというデレッタントな芸術家志望の男がやっぱり気になる、今のところ失敗者でしかない。それでもやっぱりいいのかも、芸術の道に挑み今のところ失敗者というのも悪くない。ところで、このゴンチェロフ、晩年には検閲官になって多くの作品を発禁にしていったそうな・・・。作家が検閲官になっちゃおしまいだな。いずれにしろ、作品は良かった。小説が途中から急に生気を帯び始めるところがはっきりと分かり、小説生成の神秘が良く分かる。2011/03/09
刳森伸一
1
素晴らしい小説だった。緩やかに進むストーリーも、登場人物の詳細な描写が際立っていてもっと緩やかでも良いくらいだと思った。新旧価値観の衝突がメインだと思うのだが、それを抜きにしても、人間の思惑や独りよがりの行動などが“リアル”でいい。2013/05/22
tieckP(ティークP)
1
感動的なシーンが多いものの、やや過剰だし語りすぎかなと。文学が三文小説になる過程を見てしまった印象(とは言え優れたそれであり、五文くらいには値するけれども)。検閲官に作家がなるのは、ゴーリキが偉い地位を得た程度には作家にとってありがたいことですよ。むしろ当時のロシア・ソ連の検閲の苛烈さを思うべき。2011/07/26
a-ak
0
最終巻に向けてどんどん面白くなっていく「断崖」でした。主人公のライスキー、困った人でもあるけど「いいやつ」なんだ。2014/07/14