出版社内容情報
恋愛映画の名脚本家であり、シャンソン「枯葉」の作詞家でもある、フランスの国民詩人ジャック・プレヴェールのエッセンス。
内容説明
「天井桟敷の人々」「霧の波止場」など恋愛映画の名脚本家であり、シャンソン「枯葉」の作詞家でもある、フランスの国民的詩人ジャック・プレヴェール(1900‐77)。恋人たちの歓喜と悲哀、戦争や日々の暮らしのありさまを、ユーモアと諷刺につつんでうたいあげた、ことばの魔術師のエッセンス。
目次
『ことば』より(くじら釣り;美しい季節 ほか)
『見世物』より(地方色;あかりを消して ほか)
『雨とお天気』より(脳味噌のない小さなあたま;はやくこないかな ほか)
『ものがたり』より(探険;五月の唄 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
102
これはお勧め。日本の現代詩のように難解な詩が少なく、読みやすい。この詩人は、人間の存在を丸ごと愛した人ではないかと思う。その優しさに触れると、胸が熱くなる。有名な「われらの父よ」で、天に行かずに「地上に残ります」と詩人が表明するところが、好きでたまらない。傷ついてぼろぼろになっても、ここで生きていくという芸術家しての力強い宣言だと思う。意外だったのは、戦争や現代の社会の歪みを激しく糾弾する詩で、これもこの詩人の優しさから来ているのだろう。(続きます)2017/10/01
藤月はな(灯れ松明の火)
83
シャンソン『枯葉』の作詞者による、軽やかで優しく、時々、毒っ気が利いた詩集たち。「帰郷」と「家族の唄」の血の繋がりが濃いからこそ、許せないことと息苦しさ、美化された価値観では覆い隠せない不毛さ、「わたしはわたしよ」のあっけらかんとした女性に見え隠れする寂しさに胸が苦しくなる。「なくした時間」は共感しきりでした。2017/10/16
しゅてふぁん
39
‘フランスの国民的詩人’プレヴェールの詩を読むのは初めて。書かれた年代が近いから読み易くていいなと思いながら読んでいたら『プレヴェールの詩を読んで味わうには、なんらかの予備知識や、専門的知識や、読む側の身構えなどがほとんど全く不必要であるからです。(P281)』と解説で小笠原氏が述べていた。なるほど。有名な‘朝の食事’や‘夜のパリ’もよかったが、季節柄か‘葬式に行くカタツムリの唄’に惹かれた。第一作目の詩集は『ことば』、なんとも素敵なタイトルだ。2018/06/04
zirou1984
32
詩人のことばは観念と具体のあいだをすいすいと泳ぐ。シャンソン『枯葉』の作詞家でもあるフランス詩人のことばたちは、驚くほどにまっすぐで、時に現実を鋭いほどに寓話化する。なんだって処女詩集のタイトルに「ことば」なんてつけるくらいだ。そこにあるのはただの言葉、それは気恥ずかしくなるくらいに素直なことば。巻末にある谷川俊太郎さんの言う通り、ここには詩であることすらどうだっていいんだという強さがある。それは日常に寄り添い、ほんのちょっとだけ世界の見方を変えてくれるもの。どんなときも味方になってくれるもの。2017/10/21
スプーン
30
「詩人の神様」と言われたジャック・プレヴェールの詩集。 豊かな想像力、可愛らしいメルヘン、 小粋なユーモア、はかない恋心、 あふれる無情感、血だらけの現実、染み入る毒。 忘れられたフランスの美の記憶。2017/08/26