出版社内容情報
生死の淵から生還したエスターを待ち構える衝撃の数々。鏡に映る変わりはてた容貌、「母」からの思いがけぬ告白、ジャーンダイス氏の求婚……。複雑に絡み合う裁判とネモ事件は、加速度的に混迷の度を深めてゆく。(全四冊)
内容説明
「ああ、いとしいわたしの子、ゆるしておくれ!」―生死の淵から帰還したエスターを待ち構える衝撃の数々。鏡に映る姿、思いもかけなかった「母」の告白、そして求婚…。ロンドンでは、ジャーンダイス訴訟に関わる人物が殺害される。逮捕されたのは誰か?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
68
第三巻は、物語の起承転結で云えば「転」。ええー、こうなるのーという驚き(がっかり)の展開。こうなると、最後まで読まないでは居られなくなる。さすがのストーリーテラーの本領発揮。2020/03/01
momogaga
55
読みながら既視感を覚えた。それは、1970年代に、私がハマって視聴したTBSドラマ『赤いシリーズ』でした。そのドラマシリーズのテーマは「過酷な運命」「拭いきれない疑惑」「決して解かれない強い絆」。この長編小説でも同様のテーマがたくみに描かれている。コスパ全盛の時代に抗って、時間を潰してでも読み上げる価値はあります。2023/05/26
道楽モン
30
この巻において物語は急速に動き出した。いくつかの謎が解明され、何人かが死に、リチャードはますます駄目っぷりをこじらせてゆく。主人公のエスターは求婚され、巻末で殺人事件が発生と盛りだくさん。次巻で完結だけれど、果たしてどのように着地するのかというワクワク感と同時に、もっとこの作品世界に浸っていたい気持ちになる。大衆小説作家ディケンズのストーリテリングに、まんまとハマってしまった様で、それはそれで愉しい時間を過ごせている。昼メロや韓ドラの受け手を引っ張ってゆく技工は、すでにディケンズが使っていたのだなぁ〜。2024/03/26
みつ
28
エスターは生死の淵から回復するが、感染症は彼女の容貌に後遺症を刻印する。その後の彼女へのガッピーの自己弁護はいかにも彼らしい。「エスターの物語」の章では容貌について嘆きつつも思いやり深く善良な心根に変わりはない。レディー・デッドロックの告白とジャーンダイス氏のエスターへの申し出で物語はようやく大きく動き出す。氏がエスターを時折「ダーデンおばさん」と呼ぶ理由は不明。少年ジョーを待ち受ける運命。弁護士タルキングホーン氏を襲う災難とそれを受けてのバケット警部の動きなど風雲急を告げる。あと1巻でどう回収するのか。2023/12/23
tom
23
楽しみながら読み進める。ディケンズを楽しめるものかと思っていたのだけど、たしか村上春樹も面白いと書いていた。4巻の後書きを見るとフィツジェラルドは娘に読めと書いてある。この本を読むきっかけになった津村記久子さんに感謝です。この巻では可哀想な少年ジョーが衰弱死する。かなり嫌らしい弁護士タルキングホーンは銃殺される。犯人は誰だで4巻は進むのか。ゆっくり読み進めて楽しむ予定。2023/10/04