出版社内容情報
バーリンは、伝統主義を拒否し個人の自由を擁護したインテリゲンツィヤたちの言説を丁寧に読み解く作品を残している。それは、十九世紀のロシアがはらんでいた複数の可能性、そこに潜む普遍性を探りあてる試みでもあった。こよなく愛したゲルツェンをはじめ、ベリンスキーやトゥルゲーネフらの人物像を、深い共感をこめて描きだした論集。
内容説明
バーリンがこよなく愛したゲルツェン、ベリンスキー、トゥルゲーネフ。個人の自由を徹底して擁護したインテリゲンツィヤの人物像を、深い共感をこめて描き出す本書は、十九世紀のロシアがはらんでいた複数の可能性、そこに潜む普遍性を探りあてる試みであった。
目次
ロシアと一八四八年
注目すべき一〇年間(ロシア・インテリゲンツィヤの誕生;ペテルブルクとモスクワにおけるドイツ・ロマン主義;ヴィッサリオン・ベリンスキー;アレクサンドル・ゲルツェン)
ゲルツェンとバクーニン―個人の自由をめぐって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nagoyan
17
優。バーリンは、本書の中でゲルツェンらのロシア・インテリゲンツィヤに尊敬と共感を表しつつも、彼らがロシア社会に受け入れることがなかったという。自由主義の恩恵を受けるべき中間層を欠くロシア社会では、西欧的自由主義思想を受け入れる社会的基盤がなく、知識階級が根無し草のようになってしまう。専制主義の力があまりに強く、人民に抵抗できる力がない。知識階級自体にも、専制主義を打倒する結果招来されるであろう過激主義に、階級的利害を感じざるを得なかった。二月革命の影響がネガティブに現れ、インテリでさえ反西欧感情をもった。2022/06/06
茅野
2
前半は登場人物も多いので、色々メモを取りつつ読んだら時間がかかった。後半は伝記なので読み易い。著者による対象への思い入れが激しいため、主観的な擁護が多いように感じる。エッセイとしては興味深いが、学術的試論としてはどうか。2023/02/28
葛
1
バーリン著 桑野隆編 2022年5月13日第1刷発行 発行者:坂本政謙 発行所:株式会社岩波書店 「ロシアと1848年」今井義夫訳 「ロシア・インテリゲンツィヤの誕生」「ペテルブルクとモスクワにおけるドイツ・ロマン主義」河合秀和訳 「ヴィッサリオン・ベリンスキー」「アレクサンドル・ゲルツェン」竹中浩訳 「ゲルツェンとバクーニン」今井義夫訳 解説:桑野隆 印刷:理想社 カバー:精興社 製本:中永製本 定価:1010円+税 カバー:中野達彦2022/09/11
掬水
0
バクーニンに対する辛辣な批評が面白かったですね。2023/06/29
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