内容説明
本巻には、1654年11月のある夜半に訪れた決定的回心の経験を書きとめた『メモリアル』等、「写本」に収録されていない“パンセ”を収載。付録として、ポール・ロワイヤル版の序文、パスカル入門にもなる『パンセ』アンソロジー、用語集、主要刊本との対照表、索引等を添え、解説では『パンセ』の核心にせまる。
目次
第2部 「写本」に収録されていない“パンセ”(オリジナル原稿が残されている“パンセ”(断章*一~*五九)
オリジナル原稿が残されていない“パンセ”(断章*六〇~*九二))
補遺 語録(1~23)
ポール・ロワイヤル版(一六七〇年)の序文
『パンセ』アンソロジー
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
100
下巻は矢張りキリスト教関連の箴言が多くなっています。キリスト教護教論ということでの内容だそうです。この巻では上巻に引き続いて解説が丁寧でそれを読むとわかりやすさが倍増する感じです。また用語も最後にまとめられています。全体を通して感じたことなのですが、矢張りキリスト教の素養があったほうが分かり易い気がしました。2018/03/14
ラウリスタ~
16
この下巻は『パンセ』から弾かれた「パンセ」など。要するに、「キリスト教護教論」の準備メモのうち、あまりにも断片的であったりしたため「写本」には写されなかったものや、ある写本にはあるが他にはないものなど。そのため、通読して面白いというものでもない。その後、アンソロジーとして、パンセの名文として知られるものをいくつか、体型的に再び並べて見せている。素人読者としては、上中下と進むに連れて徐々につまらなくなる構成になってしまうが仕方ないのか。2016/08/04
ふぁるく
10
100分de名著で興味が湧いて。まず岩波文庫版パンセなら下巻から読み始めるのがいい。この巻では断章や用語集といった補完的価値のみならず、100ページ弱で編纂されたアンソロジー、つまり入門者のためのページを含んでいる。わたしは今、補遺・語録、アンソロジーを先に読み終え、上巻から順に読む予定。わたしが特段の宗教を持ち合わせてないためその手の文は理解し難いものの、文章ひとつひとつがコンパクトながら奥深く、また時折自分の体験になぞらえたりハッとさせられたりするのが楽しいと思えた。2022/02/07
ブルーツ・リー
4
下巻になって、ますます断片(パンセ)化が激しくなった印象の、パンセ。ここまでは、ある程度断片にしても、それなりに、断片同士につながりがあって、文脈に近いものが見えていたが、下巻は、断片が本当に孤立した断片であり、筋として収束していく感じが全くしない感じ。写本によって書かれている内容が違うらしく、下巻は特に写本による異稿なり捕稿なりが書かれているから、こういう現象が起きるのかな、と思いました。科学者であるパンセが、哲学書を遺してくれたら、どんな書物が出来上がったのか。できれば、生前に完成して欲しかったです。2019/10/20
ソングライン
4
30代になり、宗教、哲学の研究に入ったパスカルのキリスト教護教論作成のための断想集は本人がまとめることなく残されました。全巻を通して、作者の思考を順序よく追うことが難しい内容ですが、下巻最後に載せられたアンソロジーは断想の中の重要なものを項目別に採録しており、作者の宗教感を再確認するのに便利なものとなっています。2017/08/05