出版社内容情報
大乗仏教の真髄『華厳経』の「入法界品」は、悟りを求める若者・善財童子が文殊菩薩に教えられ51人の神々
内容説明
大乗仏教の真髄『華厳経』の「入法界品」は、悟りを求める若者・善財童子が文殊菩薩に教えられ五十一人の良き師を訪ね、弥勒菩薩により重々無礙の真理を体験、普賢菩薩行の世界に悟入する遍歴物語。梵語原典の初めての現代日本語の完訳。第十八章‐第三十八章。
目次
マハープラバ王
アチャラー優婆夷
遊行者サルヴァガーミン
香料商ウトパラブーティ
船頭ヴァイラ
ジャヨーッタマ長者
シンハヴィジュリンビター比丘尼
遊女ヴァスミトラー
ヴェーシュティラ家長
観世音菩薩
アナニヤガーミン菩薩
マハーデーヴァ神
大地の女神スターヴァラー
第一の夜の女神ヴァーサンティー
第二の夜の女神
第三の夜の女神
第四の夜の女神
第五の夜の女神
第六の夜の女神
第七の夜の女神
第八の夜の女神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
31
「菩薩はどのようにして菩薩行を学ぶのか」という問いかけを行う善財童子の旅は続いていく。さまざまな都城の描写は金・銀・瑠璃・玻璃・赤珠・瑪瑙・琥珀などで彩られたきらびやかな世界になっているのが興味深い。本巻の3分の2を占めるのが8人の夜の女神たちである。それぞれが過去の世界で釈迦牟尼仏と同一視される毘盧遮那仏との関わりを語っていく不思議な世界へと誘ってくれる。53人の人たちに会う旅というのは53段階を踏めば菩薩になれるということでもあり、多すぎず少なすぎもしない段階はなかなか絶妙な感じがする。 2021/12/08
加納恭史
18
華厳経の現代的な意味はどうかなと、「華厳経入門」も読むが、まあ80年代の新興宗教の勃興もあったが、オウム真理教などスキャンダルもあった。著者は華厳経などの良い面も検討している。だが非常に複雑だな。確かに「空」の思想や唯識の思想はある。奈良の大仏の廬舎那仏の逸話も関係する。華厳経入法界品の中巻は菩薩道の実践が難しい。善財童子の話で馴染みあるのは、第二十七章のアヴァロキテーシュラヴァラ(観世音/観自在)菩薩か。善財童子が無上正等覚に発心したことを褒める。観世音の名前を唱える者には遅滞ない大悲の門がある。2024/01/04