出版社内容情報
「わたしが最も慚愧に堪えないのは、わが国に国名がないことである」。清末・民国の激動期、日本を媒介として西洋文明を摂取し、中国人の精神の改造と社会の近代化を唱えた梁啓超(1873~1929)。政治から文化まで、多大な影響を残したその活動を伝える28篇を精選。時系列で思想の変遷をたどりつつ配し、すべてに解題を付した。
内容説明
「わたしが最も慚愧に堪えないのは、わが国に国名がないことである」。清末・民国の激動期、日本を媒介として西洋文明を摂取し、中国人の精神の改造と社会の近代化を唱えた梁啓超(1873‐1929)。政治から文化まで、多大な影響を残したその活動を伝える28篇を精選。時系列で思想の変遷をたどりつつ配し、すべてに解題を付した。
目次
第1章 亡命まで ~一八九八年(変法通議 自序・女学について;報館が国事に有益であること ほか)
第2章 日本にて ~一九〇一年(支那の宗教改革について;国民十大元気論 序論 ほか)
第3章 革命まで ~一九一一年(学問の力が世界を動かす;変革釈義 ほか)
第4章 民国にて 一九一二年~(言論界に対するわたしの過去と将来;大総統に上る書簡(国体問題) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
9
20年8月刊行。清朝末に登場した思想家、梁啓超は、日本に亡命し、明治日本のプリズムを通して中国の変革に役立つであろう西欧思想を吸収した。「学問の力が世界を動かす」(1902年)では、コペルニクス、ベーコン、デカルト、モンテスキュー、ルソー、フランクリン、アダム・スミス・・・と列挙する。力点を置いたのはダーウィン。「適者生存」の世界の中では、個人も国家も「強く優れた生存」を目指さざるを得ないーと解釈した。ドイツの国家論者ブルンチュリだけは今日の日本で知名度が低い。「有機的国家論」がすたれたからか。2020/08/31
うーひー
1
中華民族ナショナリズム最初の提唱者である梁啓超。「中国」という国名の創造や、国史の発見、祝典の愛国心醸成に果たす役割や、ジャーナリズムの重要性の提唱など、彼の言論が果たした役割は大きい。西洋や日本の近代化を眼差した当初は、近代化におけるナショナリズムの役割に大きく期待するが、五四運動を経てある程度中国ナショナリズムが確立された後は、運動のもつ暴力性や、独裁や全体主義への懸念を言及するようになり、彼の先見の明は圧巻。また清末期に関する叙述では、高齢化や財政への懸念など、現代日本への警句として刺さる部分も。2020/11/23
Ryo Sogawa
0
中国で清末から第二次世界大戦前まで影響のあった人物の著作集。蒼穹の昴の登場人物のモデルかな?2023/09/20