岩波文庫
人間と実存

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  • サイズ 文庫判/ページ数 406p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003314654
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0110

内容説明

九鬼周造(1888‐1941)は、時間論、偶然性の問題、「いき」をめぐる考察、日本詩の押韻の問題など、多岐にわたる思索を展開し、独創的な哲学を樹立した。本書は、九鬼の思索を凝縮した、九鬼哲学への最良の概論、入門書である。人間の本質、実存、偶然性、形而上学的時間、ハイデッガーの哲学、日本文化の特質などを論じる。

目次

1 人間学とは何か
2 実存哲学
3 人生観
4 哲学私見
5 偶然の諸相
6 驚きの情と偶然性
7 形而上学的時間
8 ハイデッガーの哲学
9 日本的性格

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

50
人間学とは、人間の本質を明かにすることを課題とする学(9頁)。人間学が、科学的方法の適用される範囲内に於て、人間の本質を明かにしようとする場合には、 科学(傍点)としての人間学となる(11頁)。史的人間の人間学は歴史の創造者としての人間を考察する(35頁)。存在の定義は与えられ得られぬとしても何等か存在そのものを明かにする道はないであろうか(65頁)。アリストテレスは本質をなんであるべくあったかのもの。本質を問うためには「あった」と「ある」を併用、「何であるべくあったか」と問わねばならぬと答えた。2017/03/14

テツ

17
九鬼周造の論文集。ハイデガーに師事しサルトルと交流して熟成された彼の哲学は京都大学の思想が紹介で説明されるように二元性という特徴をもつ。今となっては古臭くカビが生えてしまったかのように思われがちな実存主義だけれど、こうして自己と他者という二元性について思考を重ねて行く果てに見えてくる何かって現代においてこそ大切なんじゃないかなあなどと無責任に考えながら読みました。2020/01/12

有沢翔治@文芸同人誌配布中

15
ハイデガーの直弟子で、<現実にいる人間の存在>(実存)や人生観、日本文化について論じられている。ハイデガーはものが「ある」とはどういうことなのかを考え、実存に迫っていったが、九鬼周造は「ない」とはどういうことか考えている。この辺り、仏教哲学の影響を受けているように思う。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51480738.html2016/11/25

春ドーナツ

11
九鬼さんが人間存在をつづめて「実存」という訳語をつくられた。「投企」とか。岩波書店の創業者の評伝を紐解いていて、そのお名前が出てきたか、記憶にないけれど、たぶん茂雄とあまり関りがなくて、浅学なので存じ上げなかった。8年にわたる欧州留学で、ベルクソン、ハイデガー、フッサールの講義を受けたそうですが、或る哲学ファンの夢のようなものかも知れない。偶然性に纏わる思索は大変興味深く読んだ。反対にハイデッガー哲学に関する論文はまったく歯が立たなかった。戦前の昭和の文体と、「純粋理性批判」より抽象度の高い議論に項垂れる2023/12/25

CCC

7
ハイデガー解説は難しくて頭に入らなかったけれど、哲学論、人生観、日本人論と収録作が幅広くお得感があった。偶然についての考察部分は、こう真っ向から真面目に正攻法で分析しようというのは、あまり見かけないような気がする。面白い。2016/09/12

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