出版社内容情報
デンマークの作家イェンセン(一八七三─一九五〇)による傑作歴史小説。凶暴な王クリスチャン2世と破滅的な傭兵ミッケル。二人の運命を中心に一六世紀北欧の激動を描く。視覚、聴覚、幻覚のイメージを巧みに駆使した生々しい筆致が胸に刺さる。「二〇世紀最高のデンマーク小説」として読みつがれる、ノーベル賞作家の代表作である。
内容説明
デンマークの作家ヨハネス・V.イェンセン(1873‐1950)による傑作歴史小説。凶暴な王クリスチャン2世と破滅的な傭兵ミッケル。二人の運命を中心に16世紀北欧の激動を描く。視覚、聴覚、幻覚のイメージを巧みに駆使した生々しい筆致が胸に刺さる。「20世紀最高のデンマーク小説」として読みつがれる、ノーベル賞作家の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
117
舞台は16世紀初頭。クリスチャン2世は権力横暴と優柔不断により栄光の絶頂から没落する。主人公の傭兵もうだつが上がらないことこの上ない、過剰な自省を抱えた無言のメランコリーは五感に訴える言語表現をより鮮やかにかつ禍々しいものにしている。自分の蒔いた種が思わぬ連鎖反応で身に降りかかるなど、二人の重なりが象徴するデンマーク的性格はデカダンスと相性は抜群。自然愛に満ちた詩句、神話、奇形児などの投入もその影響が色濃い。「毎日死なない者は、決して生きることがない」—アイデンティティの不在は人生からの復讐が待っている。2022/03/26
syaori
68
16世紀。デンマークからスウェーデンが独立してゆく歴史を背景に物語が進みます。「王」とはこの過程で廃位するデンマーク王クリスチャン2世のことで、彼と傭兵ミッケル、彼らに関わる人々が絡んで暗く華麗な歴史絵巻を展開します。暴虐と優柔不断で王位を失う王と破滅的なミッケルをはじめ、登場人物たちの生涯は「実りのない大いなる不毛」という言葉が相応しいもの。しかしそれが美しいのは、死に固定されるまで彼らがその人生を生ききるからで、「苦痛となって現われる」その過程こそが価値があると教えてくれるからではないかと思いました。2023/04/14
星落秋風五丈原
28
実在の王、架空の傭兵、神まで登場するジャンル分けが難しい作品。若き国王の姿を見たミッケルはその後ボタンの掛け違いともいえる出来事から復讐と運命に抗っていく。2021/06/05
Tomoko.H
9
オッテは許嫁を思いながら、スサンナのところへ行き…そこも何で⁈だし、スサンナは受け入れるんだ。挙句に淫売扱いで追放、その子だからかアクセルが一番訳わかんない。ミッケルはミッケルで、その復讐にアネメッテと…。この辺の展開に呆れるばかり。でもどうやらミッケルの旅とヤコブの最期まで付き合って、解説でやっとこさ飲み下したといったところ。 2022/04/20
みか
8
2021年12月11日読書会課題図書。1944年ノーベル文学賞受賞。2021/12/11