岩波文庫
かくれんぼ・毒の園 他五篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003264126
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ロシア前期象徴主義を代表する詩人・作家ソログープ(1863―1927).影絵やかくれんぼに夢中になる少年少女たち…….汚濁に染まらない子供たちは美しいまま醜い現実によって死んでいく.夢と現実の交錯,美と醜,生と死の対立の中に,妖しくもにぶい光が立ちのぼる.表題作の他に,「白い母」「光と影」「死の勝利」等を収録.

内容説明

ロシア前期象徴主義を代表する詩人・作家ソログープ(1863‐1927)。影絵やかくれんぼに夢中になる少年少女たち…。汚濁に染まらない者たちは美しいまま醜い現実によって死んでいく。夢と現実の交錯、美と醜、生と死の対立の中に、妖しくもにぶい光が立ちのぼる。表題作の他に、「白い母」「光と影」「死の勝利」等を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えりか

61
無垢な少年たちが他愛ないかくれんぼや影絵遊びに熱中すればするほどに、静かに、でも確実に忍び寄る死や狂気の世界。それはぞっとすると同時に妖しくも美しい。「光と影」影はどこまでもついてくる。どこにも逃げられない。それは死そのもの。影にとりつかれた親子が徐々に狂気に陥る様は恐ろしかった。「毒の園」美しい園の中の美しい女。女は男を死へ招く。幻想的なまでの美にクラクラした。その美の内に潜んでいる甘美な死の気配と、花々の濃く強い芳香に包まれ、陶酔した。美しい死というものがありえるならば、これがそうだろう。2017/02/09

ちえ

42
子供の頃から忘れられない怖さを覚えた「かくれんぼ」。文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション『恋』で「光と影」に言及されていたこともあり短編集を読む。子供の純真さや何かにどうしようもなく惹かれてしまうところにある恐れと残酷さ、狂気。「死の勝利」は戯曲、戯曲は苦手だと思っていたけれど、読んでいくうちに引き込まれ、最後は場面が浮かぶようだった。翻訳が古いところが逆に幻惑的、子供が主体ではない短編は毒の甘さと蠱惑的、近づきすぎると毒にやられる。2021/08/23

藤月はな(灯れ松明の火)

40
前半3篇は既読。「毒の園」の既視感は「ラパッチーニの娘」に似ているからだと気づきました。「死の勝利」は「トリスタンとイゾルテ」の王の一夜との身代りを連想しましたが侍女の母が侍女の幸福を願って権威を簒奪したということは違います。でも王に様々な力を与えて貢献したのに嘘がばれたら今までの愛情も全否定する王の傲慢さに縊り殺したくなりましたので最後の応報には満足です(黒笑)そして「子羊」は無垢故の罪を許す点はキリスト教らしいと思いました。2013/05/23

syaori

35
『毒の園』の「おお私の恋人! もしあなたの接吻のうちに死があるんでしたら、その限りない死を私に飲ませて下さい!」というセリフに象徴されるように、退廃的で幻想的な愛と死とに彩られた短編集です。愛と死は一体となって、無垢な子供たちの遊びは狂気と死につながり、じわじわと遠く近い甘美な世界に侵されていく日常に酔わされます。かくれんぼのときの「チューチュ」というたわいもない言葉がだんだん不吉な影を帯びてくる『かくれんぼ』、優しく幸福な結末を迎える『白い母』、甘美な恋人の接吻が死につながる『毒の園』などが好きでした。2016/09/16

SIGERU

29
「二人は壁を眺め、両手を妙な形に動かしていた。壁には影が奔って、ゆらゆらと揺れていた。(中略)二人の顔はおだやかで、二人の幻想は朗らかであった。二人の眼は狂気の色に、幸福な狂気の色に輝いていた」(『光と影』)。羸弱な少年ワローヂャは影絵に魅せられ、自らが造り出した影絵の幻想世界に沈湎していく。少年を溺愛する母は、息子を取り戻そうと、ごっこ遊びのつもりで影絵と遊ぶが、いつか同じ幻影に囚われて…。光と影の世界に浮かび上がるのは、耽美な狂気にいろどられた聖母子像だ。狂気にも美が存在し得ることを知らしめた傑作。2021/10/27

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