岩波文庫
内乱―パルサリア〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 394,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003212622
  • NDC分類 992
  • Cコード C0198

出版社内容情報

詩的創作もまじえた主観的叙述で,ポンペイウスとカエサルの戦いを描く.カエサルの勝利によって帝政への道を開いた内乱を,理想と現実,自由と力の相克と捉え,理想と自由の挫折と敗北の歴史,ローマ亡国の悲劇的過程として叙した.ポンペイウスや小カトー等,滅びゆくものへの共感と哀惜の念に満ちた〈亡国の叙事詩〉.

内容説明

詩的劇作もまじえた主観的叙述で、ポンペイウスとカエサルの戦いを描く。カエサルの勝利によって帝政への道を開いた内乱を、理想と現実、自由と力の相克と捉え、理想と自由の挫折と敗北の歴史、ローマ亡国の悲劇的過程として叙した。ポンペイウスや小カトー等、滅びゆくものへの共感と哀惜の念に満ちた“亡国の叙事詩”。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みっぴー

47
後半クレオパトラが出てきて、これからって所で終了でした。むうう…無念…解説にもあったように、確かにイリアスとの類似点がチラホラ。カエサル=アキレウス、ポンペイウス=ヘクトルは納得。叙事詩ってあんまり読まないんですけど、ただの英雄憚ではなく、実は詩人の政治的主張が込められていたり、時代背景が如実に反映されていたりと、貴重な歴史的史料でもあります。これを訳してくださった方は天才か特殊能力をお持ちなのかと勘繰ってしまうほどの芸術的な訳で、本当にお見事でした。吟遊詩人に転職したくなりました♪2016/10/14

シンドバッド

4
本書だけを読んでも叙事詩として鑑賞に値するが、カエサルの内乱記・ガリア戦記を読まれることをお勧めする。 尚、未完で終わっている。2014/06/01

feodor

4
セネカの甥である詩人ルカヌスの叙事詩。ポンペイウスとカエサルとの内乱を描いた歴史叙事詩なのだが、共和政を滅ぼしたカエサルに対する悪評価がとても印象的だった。ネロの下で最終的には暗殺計画の首謀者として自決に追い込まれる熱血詩人なのだけれども、その片鱗というか、専制に対する怒りがみなぎるものであった。注や索引は割に充実しているいっぽうで、それを本文ではあまり印象付けないところは良くもあるし悪くもあるように思う。2013/03/24

壱萬弐仟縁

4
「真の勇者とは、恐れるべきものに進んで耐え、しかも、恐れが間近に迫れば、その実現を遅らせることのできる者」(80頁)。このフレーズは原発処理には妥当しない。先送りして困るのは未来世代である。被曝する勇気はないだろうに。カトーは兵士らに、「堅忍不抜の忍耐心は困難なものにこそ喜びを覚える。高い代償を払わねばならぬ時、誉れある行いはなおさら喜びとなる」(224‐5頁)。何のために生徒や学生の頃耐えて来たのか、わからなくなる社会人の今、この指摘を思い出してさらに我慢する以外ないだろう。著者は夭逝で未完なのが残念。2013/03/08

鵜殿篤

3
文章は、なかなか激越で、おもしろく読んだ。カエサルとポンペイウスを対照的に取り扱うなど、人物を極端にキャラクター化している感じも興味深い。女性では、破廉恥で淫乱なクレオパトラと貞淑で甲斐甲斐しいコルネリアが対照的だ。 しかし読後にいちばん印象に残っているのは、カトーが砂漠を縦断するくだりだったりする。グロくて、悪趣味で、恐ろしい描写だった。2020/01/23

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