出版社内容情報
高師直・足利尊氏の死と義詮の将軍就任、大火・疫病・大地震、南朝軍の京都進攻――佐々木道誉の挿話とともにバサラの時代が語られる。
内容説明
観応二年(一三五一)二月高師直・師泰が討たれた。延文三年(一三五八)四月には足利尊氏も病死し、十二月に義詮が将軍に就任した。康安元年(一三六一)には京都で大火・疫病・大地震が発生、南朝軍が進攻した。「神霊矢口渡」や佐々木道誉の挿話とともに、バサラの時代が語られる。(第三十‐三十六巻)(全六冊)
目次
将軍御兄弟和睦の事
下火仏事の事
怨霊人を驚かす事
大塔若宮赤松へ御下りの事
高倉殿京都退去の事
殷の紂王の事、并太公望の事
賀茂社鳴動の事、同江州八相山合戦の事
恵源禅閤関東下向の事
那和軍の事〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
118
太平記の第5巻となり足利尊氏もいなくなり、バサラといわれる佐々木道誉などについて語られたりします。この本を読んでいると史実の部分がどれで架空の話がどこなのかわからなくなります。やはり昔の文章とは言いながら声に出して読むと小気味よさがさらに感じられる気がします。講談の元祖のような気もします。隆慶一郎さんもこの本から大分影響を受けているのでしょうね。2017/06/26
syaori
32
直義の都落ちと死、南朝との和睦と破たん、尊氏逝去、有力大名たちの争いが描かれる第5巻。南朝方は将軍方の内紛に利用されているようで大変と思いますが、北朝の存在感のなさを思うとそれでも良いのかもしれません。この巻で印象的なのは有力大名たちの富貴を誇る華美な数寄ぶりと争い。馬を濃紫や薄紅などの色に染め綾羅を飾って入京する武士たちや豪勢で趣向を凝らした酒宴の様子は当時の武家の力を感じさせます。その彼らが謀を仕掛け合い、南朝も絡んで四海の内は全く穏やかならざる様子なのに次はいよいよ最終巻。大丈夫なんでしょうか。2016/12/05
Francis
10
この巻で足利直義、そして足利尊氏が死去する。直義は「毒殺と噂された」と尊氏による殺害をほのめかしているが、よく読むと「このまま生きていても仕方がない」と直義が嘆き続けていた、と取れる描写がある。亀田俊和先生が「観応の擾乱」で主張したように直義は病死ではないだろうか。2021/05/03
isao_key
8
5巻では高師直の死後、観応の擾乱のののちの場面が描かれている。南北朝の対立はまだ続いており、そんな中で足利尊氏が死去する。これほどの大人物の割には、あっけない記述をしていて、背中に腫瘍ができ名医や陰陽寮の長官、祈祷師などが祈り続けるも、57歳でこの世を去った。この場面の前の描写では、当時の公家人の没落ぶりと、それに対して武家の繁栄ぶりを対比している。「無礼講」とは後醍醐天皇が、飲茶の会時に始めたことが記述に残る。「衣冠を着せず。ほとんど裸形にて、飲茶の会有り。これ学達士の風か。世にこれを無礼講の衆と称す」2016/07/31
Francis
7
今回の分冊は足利直義、尊氏兄弟の死、正平の一統、細川清氏の反乱など、相変わらずの戦乱続き。でもやはり今分冊も面白かった。2016/06/18