出版社内容情報
湯島聖堂、東叡山寛永寺のことをはじめ、桜田門外の変など幕末・維新の数々の事件についての項目を収録。(全三冊)
内容説明
貞和三年(一三四七)、楠正成の子正行が父の十三年忌に際して挙兵した。これに対し高師直は楠討伐に向かい、吉野南朝の皇居を焼き払った。その後観応の擾乱となったが、師直は観応二年(一三五一)武庫川で上杉能憲らに討たれ、高一族は滅亡した。
目次
畑六郎左衛門時能の事
戎王の事
鷹巣城合戦の事
脇屋刑部卿吉野に参らるる事
孫武の事
将を立つる兵法の事
上皇御願文の事
土岐御幸に参向し狼藉を致す事
高土佐守傾城を盗まるる事
義助朝臣予州下向の事、付道の間高野参詣の事〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
142
もうこの巻になると史実なのか架空の物語なのかがよくわからなくなってしまいます。中国の話などもよく出てきたりします。高師直の一族も結局滅亡してしまいます。ただいつもながらこの文章自体のテンポは好きで声に出して読むとよりわかりやすい気がします。2017/05/17
syaori
34
勢いのない南朝方で一人気を吐く楠正行の奮戦と将軍方の内紛、足利家の執事高一族の滅亡が描かれる第4巻。楠正成の息子正行は奮戦ぶりもですが、後村上天皇との最後の対面とそれに続く物語の悲劇性が強く大変印象的でした。また高師直・師泰兄弟や尊氏の弟の直義の驕慢ぶり、天下を乱す怪異なども描かれますが、大塔宮や楠正成が天狗になって怪異を起こすという話は当時の南朝への同情を思わせて興味深いです。将軍家の内紛は武家たちがどう動くのか分からなくて大変スリリング。高一族滅亡で以下次巻。将軍を追い詰めた直義はどうなるんでしょう。2016/12/02
Francis
14
再読。前回も書いた通り、第29巻で足利直義が南朝に走る場面で史記の項羽と劉邦の戦いが延々と引用される。おまけに項羽の軍師范増老人が項羽にちん毒で殺される、と事実と異なる描写がされている。どうも「観応の擾乱」で亀田俊和先生が「太平記の著者は都合が悪くなると中国の古典を引用してごまかす癖があるようだ」と書いている箇所らしい。果たして著者は嘘を書いてまで何を必死でごまかそうとしたのだろうか?太平記は時々こんな変な引用をするのでそこを読むだけでも面白い。2021/04/03
Francis
7
室町幕府、足利兄弟の内紛、観応の擾乱の勃発。最後は高師直の死によってこの分冊は終わる。他の方が書かれているけど、中国の史書からの引用目立つ。しかも正式なものではなくて、説話的な資料からの引用???2016/07/07
isao_key
7
将軍足利尊氏と政務の実権を握る弟直義の政権下において、高師直は直義と次第に対立する。直義宅を襲撃し、尊氏の取り計らいにより和睦、直義は出家する。その後、師直は足利義詮を補佐し、幕府の中枢に入る。観応元年、尊氏は直義の養子足利直冬を討伐するため出撃するが、直義が直冬に呼応し挙兵、尊氏軍は敗れ、師直兄弟の出家を迫り、師直は京都へ移送中に兄弟とも殺害される。戦国乱世を絵に描いたように生きた男。また楠正成の嫡男正行が、父の13年忌に挙兵するも、最後は鱸四郎に射られ弟正時、和田新発意と3人で刺し違える。享年22歳。2015/12/31