出版社内容情報
都をめぐる情勢が急激に転回する巻7から巻9を収録.木曾義仲が都に迫り,平家都落ち(巻7),頼朝との不和が決定的となり孤立する義仲(巻8),義経率いる機動部隊が義仲を打破り,一ノ谷で平家の大軍を急襲(巻9).
内容説明
木曾義仲、頼朝・義経、そして平家の三つ巴の戦いから源平合戦へと急激に転回する巻七から九を収録。木曾義仲が京に迫り、平家都落ち(巻七)、義仲と頼朝の対立が決定的に(巻八)、義経軍が義仲を破り、さらに一ノ谷に陣を敷く平家の大軍を急襲(巻九)。
目次
巻第七(清水冠者;北国下向;竹生島詣 ほか)
巻第八(山門御幸;名虎;緒環 ほか)
巻第九(生ズキノ沙汰;宇治川先陣;河原合戦 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
43
巻7~巻9を収めるが、このあたりはそのほとんどが闘いの場面だ。物語の趨勢は、ひとえに平家が没落へ向かっていく道筋を描くのだが、そこには「個」もまた明確な像を結んでいた。ここでは大勢の公達、また武将達が命を落としていくが、もっとも壮絶なのは今井四郎の最期だろう。四郎は「これ見たまへ、東国の殿原、日本一の剛の者の自害する手本」と叫びながら、太刀を口に含み馬からさかさまに飛び降りるのである。他にも、薩摩守忠教都落ちや、老武者の斉藤実盛のエピソードをはじめ、壮絶な戦いの中にも物語は優にもまた「あはれ」に描かれる。2013/03/13
高橋 橘苑
18
本書では倶利伽羅峠の戦い他、木曽義仲の快進撃と入京後の後白河法皇との対立、法住寺合戦を経ての義仲の死、更に源平合戦の見せ場、鵯越の一ノ谷までを描く。木曽の田舎武者、義仲や中原兼平らの最期に一場の夢の儚さを思い、薩摩守忠教や敦盛の最期に健気さと美しさを感じたのは、平家琵琶を聞いたいにしえの人々も同じであっただろう。平安王朝の動揺が、東へ西へと社会を流動化させ、畿内域外の時空間を異にするまつろわぬ者たちは、美意識を振りかざして歴史に名を刻もうとする。混沌と勝者なき時代絵巻は、ただ黄昏の感慨に染まらせる。2015/04/17
クラムボン
13
ここでは平家に対抗する木曾の義仲、そして鎌倉の頼朝・義経が登場。いよいよ役者が勢揃いする。ついに平家の都落ちとなるのだが、この場面、印象深い章段が多いのが平家物語の特徴だ。勅撰集選者の俊成卿に自歌を託す薩摩守忠度、仁和寺の守覚法親王に名物琵琶の青山を返しに立ち寄る琵琶の名手経正。一方清盛の腹違いの弟・池殿頼盛の動向が興味深い。母の池の禅尼が平治の乱で頼朝の命乞いをしたことで恩人となる。池殿は屋敷を焼き払い、平家一門と共に都落ちするのだが、途中で引き返す。源氏に寝返るのだ。平家には珍しい…策士である。2021/12/12
うた
9
倶利伽羅峠にて木曽義仲に敗れ、平氏は西へと落ちのびる。義仲は京に入るも粗暴勝手に振る舞い、追手を差し向けられる。裏には武士そのものを弱らせようとする法皇を意図が見え隠れする。義仲は義経に敗れ、平氏は一ノ谷で決定的な敗戦を喫する。義経のあざやかさもさることながら、多くの兵が滅びゆく様があわれ。意を決しての都落ち、木曽最後、能登守の奮戦、若武者たちの死。彼らの名乗りも戦装束も、いかに死ぬべきかを表しているように思える。2012/06/24
ゆうきなかもと
6
面白い!!なんだこれって思う話も満載ですな-(≧∇≦)b2015/04/14