出版社内容情報
2021年度より公立学校教員への導入が可能になった「1年単位の変形労働時間制」。この制度は教員の多忙化解消につながらないどころか、さらに多忙化を進展させる可能性すら含んでいる。本書では、学校がおかれている実情や法制度を踏まえつつ、この制度の持つ問題点について、現場教員を含む様々な視点から論じる。
長時間労働の改善どころか、多忙化が進みかねない――
エビデンスなき「迷走」のゆくえは?
「一年単位の変形労働時間制」を徹底的に解剖する
近年話題となっている、教員の過重労働の実態。OECDの調査でも日本の教師の労働時間が世界的にもっとも長いことがわかっている。また、国内調査でも、過労死ラインと言われる月80時間の残業を中学校教師の58%、小学校教師の34%が超過している現状にあり、その改善は喫緊の課題である。
そうした議論を受け、2019年秋の臨時国会、教員の待遇を定める「給特法」が改正され、それによって自治体単位の導入が可能になるのが、公立学校教員の「1年単位の変形労働時間制」である(2021年度以降)。
だが、この制度は大きな問題を含んでいる。
この「1年単位の変形労働時間制」は、本当に教師の長時間労働の改善につながるのか? 実際に導入されたとき何が起こるのか? 現場の教員はどのように考えているのか?
本書では、長時間労働の実態が覆い隠され、さらに多忙化が進む可能性すらある、この「1年単位の変形労働時間制」の仕組み、問題点、起こりうる可能性について、社会学や法学、現場教員の目線から論じる。
内容説明
2011年5月以降、約300名の筆者により毎月書き継がれてきたウェブ連載「3.11を心に刻んで」。本書にはその第9期分25人の寄稿とともに、被災地の現在を伝える河北新報社の現地ルポ「知られざる在宅被災者」、さらに2019年版で好評だった企画「3.11を考えつづけるためのブックガイド」を今回も新たに収録します。
目次
1 3.11を心に刻んで(二〇一九年三月一一日;四月一一日;五月一一日 ほか)
2 知られざる在宅被災者 河北新報社(制度のはざま;健康不安;災害ケースマネジメント ほか)
3 3.11を考えつづけるためのブックガイド(青木美希;赤坂憲雄;岡田秀則 ほか)