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岩波ブックレット
原発とヒロシマ―「原子力平和利用」の真相

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  • サイズ A5判/ページ数 61,3/高さ 21cm
  • 商品コード 9784002708195
  • NDC分類 539.09
  • Cコード C0336

出版社内容情報

原爆の惨劇を経験した日本は、なぜ戦後、核の危険性に目をつむり、原発政策に邁進していったのか。その背景には、1950年代、アメリカが自らの核戦略を推進するために生み出した「原子力平和利用」政策がある。そして被爆地・広島をその戦略のために利用したのだった――。歴史の真相を紐解き、日本の原発政策の「原点」を問う。

内容説明

原爆の惨劇を経験した日本は、なぜ戦後、核の危険性に目をつむり、原発政策に邁進していったのか。その背景には、1950年代、アメリカが自らの核戦略を推進するために打ち出した「原子力平和利用」政策があり、被爆地・広島もその戦略の一環として組み込まれたのだった。日本の原発政策の「原点」を問う。

目次

序章 ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ
第1章 アイゼンハワーの核政策―「戦争」そして「平和」のための原子力利用
第2章 「原子力平和利用」とヒロシマ―宣伝工作のターゲットにされた被爆者たち
終章 歴史からの問いかけに向き合うとき

著者等紹介

田中利幸[タナカトシユキ]
西オーストラリア大学にて博士号取得。現在、広島市立大学広島平和研究所教授

カズニック,ピーター[カズニック,ピーター][Kuznick,Peter]
ラトガーズ大学にて博士号取得。現在、アメリカン大学歴史学部准教授であり同時に同大学核問題研究所・所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます

13
原爆の被害にあった日本が、なぜこれほどまでに原発をつくるようになったかを、戦後のアメリカの核戦略の展開を紐解きながら明らかにしたブックレット。核兵器の脅威への批判をかわすために打ち出された「原子力の平和利用」政策が、日米双方の大キャンペーンの末に被曝地ヒロシマの人たちの思いにまで影響を及ぼしていった経過が興味深くもあり、空恐ろしくもあった。そういう思惑から離れた形で冷静に「平和利用」についての研究がすすめられ、導入が図られていたならば、違った形での原子力技術の発展があっただろうにと思うと残念でならない。2012/02/04

更紗蝦

8
「原子力平和利用」という詭弁に、広島・長崎の被爆者が(ひいては日本という国が)いかに利用されてきたかを詳しく説明した本です。アメリカの核戦略には、心理戦略が巧妙に組み込まれていたということが、よく分かりました。 博物館や展覧会が好きな私にとっては、「原子力平和利用博覧会」や「広島復興大博覧会」に関する記述は、とても興味深かったです。原発推進を目的とした企画や展示は、平成に入ってもなお続けられてきました。ただし現在は原発そのものより核燃料サイクルを全面に押し出してはいますが。(例:科学技術館)2013/12/19

ぽんくまそ

7
放射毒が「平和利用」という仮面をつけて出てきた分岐点である1953~1955年について。いかに大統領アイゼンハウアーが核を恐れる人間から、もてあそぶ人間になっていったか。日本では被爆者までもが、いや、むしろ被爆者であったからこそ「平和利用」に希望すらいだくようになっていたか。「夢のエネルギー原子力は止められない」で脳みそお花畑になっていた当時の日本を知った。(原発でウランからプルトニウムをつくってプルトニウム爆弾を自国で作れる状態にすることが「平和利用」の真の目的なのだが、この本では触れられていない。)2015/09/03

ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き

6
「原子力の平和利用」と言うと如何にも正しいことのように思いがちだし、それは広島や長崎の被爆者にとっても変わらぬ願いだった。しかし、そこに隠されたアメリカの意図は、拡散の避けられぬ核技術を平和利用にのみ限って認めることを目的としていた。本書はそのようなアメリカの意図に我々が如何に乗せられてきたかを淡々と描いてゆく。もっとも当時は公害問題も現在ほど注目されていなかったことを考えれば著者たちの指摘に多少無理なところをも感じさせられるものの、本書によって「核には平和利用などない」という現実を知る意義は大きい。2012/05/15

壱萬弐仟縁

5
「原発事故も『無差別大量殺傷行為』となりうるものであり、したがって、『非意図的に犯された人道に対する罪』と称すべき性質のもの」(8ページ)。テロの標的にもなるため、安保上も重要な原発の制御が問われる。Atoms for Peace(1953年、27ページなど)というアイゼンハワーの考えは、矛盾しているものではないかと思った。平和利用の平和が確保できていないのだから。またもや広島が標的とされているのがなぜか、と痛切に思う。TPPといいアメリカの対応があまりにも酷に思える。軍縮は福祉と軌を一にして、反原子力。2012/12/15

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