出版社内容情報
英国のEU離脱やトランプ大統領の誕生など、「格差」に対する人々の不満が世界を揺るがしている。日本でも中間層の消滅や貧困の増大が語られているが、現状を客観的に把握する必要がある。豊富なデータを駆使して、世代間、正規・非正規間、地方間、企業間格差など様々な切り口から日本における「格差」の実像を多層的に浮かび上がらせる。
内容説明
所得、資産、男女、正社員・非正社員、世代間、都市と地方、…多様な切り口、豊富なデータで「格差」の実像を浮かび上がらせる。「格差」問題を考えるための基本書。
目次
1 国際比較でみる「格差」(国際的な格差問題;所得格差の大きい国、小さい国 ほか)
2 日本における格差の現状(所得の格差;資産の格差 ほか)
3 日本における格差問題―何が問題か(「格差は広がっている」と感じるか;縮小する中間層 ほか)
4 どのような政策が必要か(雇用に関する政策;賃金に関する政策 ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
36
包摂的成長(inclusive growth): 低所得層、貧困層を含めて広く恩恵が及ぶような成長の在り方を示す(6頁)。 不本意型非正社員は315万人(44頁)。漸増していることが図表7-1非正社員比率の推移で理解できる。 今後政府には、増税と歳出抑制策を組み合わせた財政健全化に強力にコミットすることが求められる(76頁)。 35~44歳の壮年非正社員の厳しい経済状況が懸念(149頁)。 2017/08/22
isao_key
4
政府の税制調査会委員を務めている著者が、格差に関する現状と実態について明らかにしている。所得格差について、日本の上位10%世帯の所得割合はOECD26カ国中8番目に対して、上位・下位10%世帯の所得倍率は5番目と上昇している。このことは低所得者世帯への所得再配分が十分に機能していないことを示す。全国消費実態調査でのジニ係数の変化を見てみると、1979年は0.271であったが2014年では0.314と上昇している。ただ2009年と2014年とを比較するとジニ係数が上昇したのは60-69歳世帯のみであった。2018/05/30
yuno
2
所得や資産に限らず、男女間・世代間・地域間等の多面的な格差のデータが網羅的に載っているので、格差や貧困の議論をする際に手元に置いて辞書的に使えるのが良い。基本的なデータが抑えられているので、元々知っている内容の方が多かったが、独自分析もあって面白い。最後は政策提言になっているが、半分くらいは政府の政策の紹介で、一般的にも言われているようなオーソドックスな内容。2017/04/27
kaz
1
所得、資産、雇用、世代、地域、企業規模等の視点で切った格差問題を分析。切り口はオーソドックス、結果も常識的と言えば常識的だが、データで裏付けられている分、説得力がある。国際的に見て日本の相対的貧困率が高いとは知らなかった。 2017/06/04
dahatake
0
長年蓄積されたデータを用いて、傾向を他との違いを多面的に見る事で、複雑な「格差」についての解明を試みている。 しかし素晴らしい能力。エコノミストの方々は素晴らしい。 そしてデータを黙々と収集・管理・公開している各省庁の皆さんには本当に頭が下がる。 これを活かせてないと思う。企業も社会も。2021/10/22