岩波現代全書
日本仏教の社会倫理―「正法」理念から考える

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  • サイズ B6判/ページ数 281p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291125
  • NDC分類 182.1
  • Cコード C0315

内容説明

仏教には本来、社会倫理的な実践が大きな要素として備わっていた。近代的な宗教観のもとで見落とされがちだった日本仏教の倫理性・社会性の側面が、現代社会の中で再び顕わになりつつある。本書は、「正法」理念に着目しながら、日本仏教の実践思想の系譜を捉え直し、宗派主義の枠を超えた新しい日本仏教史像を描く試みである。

目次

序章 日本仏教を捉え返す
第1章 出家と在家―近代的な仏教理解を超えて
第2章 仏教と国家―正法を具現する社会
第3章 正法と慈悲―仏教倫理の基礎概念
第4章 正法と末法―日本仏教の形成
第5章 正法復興運動の系譜―中世から近世へ
第6章 在家主義仏教と社会性の自覚―近代から現代へ
終章 東日本大震災と仏教の力

著者等紹介

島薗進[シマゾノススム]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学文学部宗教学科教授を経て、現在、上智大学神学部教授、同大学グリーフケア研究所所長。専攻は近代日本宗教史、比較宗教運動論、死生学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

羊山羊

11
仏教と倫理、国家と社会について述べる。仏教の個人の世界との在り方や救済には関心があったが、その倫理観がピンと来なかった。仏教には、世の中をよくするための正法という概念があって、この正法を国家と一体化して広めていくか、それとも社会に寄り添うか、ということを時々の情勢を読みつつ行ってきたが、キリスト教のような形で社会貢献の伝統を残せず、その代わりに在家主義が台頭することになった。正直、仏教の果たす社会的意義、というものが無学な私にはまだ見えてこない。もう少し学習したい。少し背伸びしすぎた。2020/03/20

マウンテンゴリラ

3
本書を再読書に選んだ理由は、前回読んだときの内容理解が消化不足気味に感じたことと、それ以上に本書のタイトル、テーマが極めて重要な今日的意味を持つと感じたことである。確かに、仏教的倫理は世界に誇れるものであり、もっと国際的に認知、理解されるべきだとも感じてきた。しかし私が今日的意味を持つと思うのは、それ以前に大きな壁があるという意味でもある。敢えて日本人の倫理観を問えるほどの器量や行跡が私に無いということは百も承知の上で、自戒を込めての意味もあるが、何か最近の日本人はおかしいという気がしている。→(2)2020/06/21

非実在の構想

3
真理であり、またそれを社会に及ぼそうとする正法という仏教の本流の考え方に基づいて日本仏教を概観。今日、仏教の個人主義の側面を重んずるのはプロテスタントの影響である。慈悲は大乗仏教のジャータカで強調されるようになったのであり本来的には力点が置かれていない。2019/11/01

マウンテンゴリラ

3
本書は、仏教における最も困難な問題に正面から取り組もうとしたものであり、その提起されている問題には強い関心を覚えた。しかし、本書を読み終えて自分なりに感じたことは、仏教に社会倫理があるとすれば、それは、仏や菩薩の倫理であり、衆生のものとして一般化されるような倫理ではないと捉えるのが自然ではないかということであった。確かに、東日本大震災後の仏教界および個々の僧侶の活動は、倫理的にも素晴らしいと思う。しかしそれは、仏教の教義、思想そのものから容易に一般化されるものではないような気がする。→(2)2015/07/09

そーすけ

1
208*「正法」という理念から日本仏教を見直す。専門的で難しい。中村元先生の書籍について批判的に検討されている。中村先生ファンの自分にとっては、ちょっと悲しい(´・ω・`) 創価学会も国柱会など先行する法華系宗教から大きな影響を受けているのだな。2015/10/08

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