内容説明
「娘と息子、どっちがかわいい?」日本人が首をかしげる中国人の質問。「これ誰の?―うーん、誰のかなあ」実は不思議な日本人の答え方。中国人の妻との日常生活を通じて、数えきれない「あれ?」と出会ってきた著者が説く、「こう考えれば理解しあえる」!さまざまな場面で応用できる、対照言語学的「比べ方」のすすめ。
目次
第1章 何のためにしゃべる?
第2章 比べて考える
第3章 視野を広げて考える
第4章 自立型の文法と協力型の文法
第5章 天秤型コミュニケーションとシーソー型コミュニケーション
第6章 日本語をふりかえる
著者等紹介
井上優[イノウエマサル]
麗澤大学教授。1962年富山県生まれ。東北大学文学部卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科国語学専攻博士課程中退。専門は現代日本語の文法研究、文法の対照研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
311
著者の井上優氏のご専門は日中対照言語学。妻(本文の表現)が中国北部の出身でもあり、また大学には留学生も多数いるようで、研究対象には事欠かない様子。始まりこそ、副題の日中の言語行動比較であったが、著者の主たる関心が文法にあるために、中盤以降はややコミュニケーション論からは離れる。日中において、発話の方法やタイミングなども随分違うが、会話することの持つ意味がそもそも違っているようだ。私もこれまで何人もの中国人留学生たちとお付き合いがあったが、知らないことや気が付かなかったことも多い。2023/06/03
更紗姫
17
会社名や固有名詞など、日本ではカタカナで(そのまま)表すところを新語を作っちゃう中国。「軟銀(=ソフトバンク)」「熱狗(=ホットドッグ)」・・・分かり易いし面白い。本書では色々なエピソードを紹介してくれるが、異文化コミュニケーションにおいて「互いに理解しよう」は「互いに我慢しよう」と同じで解決にはなり得ない、と言うのが結論?「比べて考え」て、落としどころを探る事が必要だと。「比べて考える」ためには、各々の立場・背景・言語の性質 諸々知識がないと難しいし、正直かなり面倒くさい。でも、これしかないね、確かに。2017/01/09
Haruka Fukuhara
6
面白い。夫婦で常に異文化交流しているというのは、人によっては非常に有意義で愉しいことなのだろうと思った。中国北部出身という奥様のツッコミなのかボケなのかどちらとも言い難い的確な答えがいちいち素晴らしいと思う。2017/03/05
うえもじ
6
日本語と中国語を比較することによって日中の文化的違いや、コミュニケーションの仕方が分かってくる一冊。中国人と日本人との間のいわゆる「食い違い」もそれなりに解説されてて読んでて楽しい。少しでも中国語をかじっている人なら、中盤の文法話も楽しめるかも。なによりも、「あーわかるわかる。中国の人ってこうだよねえ〜。うんうん日本人はこういう考え方してるけど、だから中国人はそういう行動に出るんだね〜」と実際自分が中国人との会話やらの付き合いで、よく起こる場面が沢山出てきて顔がニヤつく。オススメの一冊。2014/06/25
nori_y
5
このタイトルを見てふと思い出したが、一人で中国へ行った時、交通機関や飲食店で誰かと隣り合わせになれば、話しかけられないことはなかった。(残念ながら語学力及ばず会話はほとんど成立しないし、とてもあたふたして落ち着かない。笑) なるほどと思う部分が多く、結局の所は他者との関係、及びその場をスムーズにしたいと言う部分で同じなんだなあ。2017/03/15