内容説明
外来異文化の受容とその日本的変形過程を和様化と捉え、建築における「日本的なもの」について考察。戦中戦後の建築言説のイデオロギー的倒錯を批判し、「間」という独創的な方法論的「時空」論を提起する。さらにこの考え方が文化システムとして、電子化やマネー資本主義体制のグローバルな広がりに支配されることなく、偏狭な時代性や場所性を突き破り、「建築」の新たな可能性を切り開くものであることを論じる。
目次
1 メビウスの輪=倭=和=「わ」(和様化と外部)
2 世紀末のカルチュラル・ターン(「退行」と「擬態」;“やつし”と“もどき”)
3 加算と減算(両性具有の夢―ヴィッラ・アドリアーナ;排除の手法―ル・トロネ修道院)
4 アンビギュイティ(闇に浮かぶ黄金―サン・ヴィターレ聖堂;桂―その両義的空間)
5 振る舞う身体(ユカの現象学―坐の文化史;ディオニュソス―「テアトロ・オリンピコ」と「楕円堂」)
著者等紹介
磯崎新[イソザキアラタ]
1931年生。東京大学大学院建築学博士課程修了。建築設計事務所磯崎新アトリエ主宰。世界各地で建築・都市の設計に携わり、展覧会を開催。国際的な建築競技設計(コンペ)の審査委員を務める。英国王立芸術院・米国芸術文学アカデミー名誉会員。建築家であると同時に、芸術家、批評家、思想家として横断的に活躍
中谷礼仁[ナカタニノリヒト]
1965年生。建築史、建築理論。早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院後期博士課程修了、同大学理工学部助手、大阪市立大学工学部建築学科助教授などを経て、現在、早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科教授。日本荒れ地学会、日本生活学会、日本建築学会会員。2010‐2011日本建築学会『建築雑誌』編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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