若者の気分
少年犯罪“減少”のパラドクス

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000284561
  • NDC分類 368.7
  • Cコード C0036

出版社内容情報

少年による凶悪犯罪は減っている――にもかかわらず「少年犯罪の凶悪化」が語られるのはなぜなのか.若者層にとって厳しい社会経済状況が続くなかで,暴動騒ぎどころか小さな暴力事件ですら減っているのはなぜなのか.パラドクスにもみえる謎を解き明かし,これまでの犯罪研究の空白地帯に踏み込む試み!

内容説明

少年による凶悪犯罪は減っている―にもかかわらず「少年犯罪の凶悪化」ばかり語られるのはなぜなのか。若者にとって厳しい社会経済状況が続くなかで、暴動騒ぎどころか小さな暴力事件ですら減っているのはなぜなのか。その謎を解明し、これまでの犯罪研究の空白地帯に踏み込む。

目次

1 経済成長と貧困(少年犯罪の長期的動向;衰退する「煽りの文化」)
2 人間関係と自由(低下する共同体の抑圧力;非行グループの弱体化)
3 オンリーワンの彼岸(「個性的な自分」への焦燥感;崩壊した非行文化のゆくえ)
4 幸福感のリアル(社会的排除からの排除;自己承認願望の二重化)

著者等紹介

土井隆義[ドイタカヨシ]
1960年生まれ。筑波大学人文社会系教授。社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

11
書店や図書館の棚にこの本の背表紙が見えてるだけで価値がある、それくらい、凶悪化してると思ってる人は多い。◇例えば自分の子から、覇気はなくともこれで充分、さあ、そこから出る理由は?と問われて、煽るロジックは簡単じゃない。「いや、だってこっちのほうがおもろいで」が伝わるにも、自己効用感が必要だもの。「生まれつきそうなんだから仕方ない」を突き崩す戦略は、それぞれで編み出すしかないよなあ。そのためには、どんな環境を整えればよいのだろう?2013/04/04

kenitirokikuti

7
時間がないので拾い読み。少年犯罪は一貫して減少しているのだが、90年代後半から00年代前半のみその世代の凶悪犯が増えた。その原因を「若者」が劣化したせいだとするのは荒っぽすぎる。劣化した(衰退した、消滅した)のは「不良文化」である。例えば、カツアゲのテクが伝承されなくなったので、ストレートに「強盗」になってしまう。また、単車ドロが減って自転車ドロが増えたのは、複数要因があるとはいえ、キーなしにエンジンかけるような技術は経験者から学ばないと身につかないであろう▲対抗文化なおっさんがオタクを見下す図、これかも2018/05/03

たこやき

6
少年犯罪の現状、について、様々なデータなどを用いて相関関係、因果関係を探っていく序盤についてはなるほど、と感じた。ただ、その背景にある思考とか、そういうところについては、「○○はこう指摘している」というようなものか、殆ど、根拠のない「こうだ」という決め付けになっているように感じる。中にはデタラメ調査の見本のような『下流社会』(三浦展著)などが入るので信頼できない。また、個性重視教育の結果、なんていうなら、その辺りの意識調査とか、そういうのも入れないと説得力がないのでは? なんか、全体的に根拠薄弱。2012/08/04

1_k

3
「若者論」の一種であるが、犯罪統計からのアプローチ。しかし、行き着くところは、スクールカーストなど他の切り口からアプローチした論と似たような所になる。ああ、やっぱりそこね、みたいな感じでもはや諦観すら感じられる。犯罪統計論からすると、基本的な知見なのかもしれないが、取り締まり側の体制によって特定グループの犯罪率が大きく変わりうるという「セレクティブサンクション」の概念は目から鱗でした。2013/03/02

MasakiZACKY

3
貧困率も高まり格差も拡がり、だが他国と違って減少を続ける日本の少年犯罪に対して、様々な統計を参照しつつ文化的側面からアプローチした一冊。マスメディアの影響もあり、世間では増加し凶悪化していると思われがちな少年犯罪。しかしその実態は真逆であり、まずその事実を統計のカラクリから見事に示してくれる。だがその事実は異例であって、アノミー論、宿命主義、準拠集団、鎮めの文化などのキーワードから考察を展開している。少年犯罪の減少とはよいことじゃんかと思うけど、その背後にある社会的変化を考えると、どうも話は簡単ではない。2012/11/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4676988
  • ご注意事項