内容説明
みずからの激動の時代体験をとおして人間と社会の問題を深く掘り下げ、知的苦闘の中から作品を生み出したウェルギリウス。このラテン文学最大の詩人が後世にあたえた影響ははかりしれない。彼の遺した大叙事詩『アエネーイス』により「ヨーロッパ」という概念は初めて創られ、またダンテ『神曲』においては主人公を冥界に導く人々としても描かれた。『アエネーイス』は、民族や人種を超え、個人が相互の理解と尊重により結びつけられる社会を創るという理想と、その実現のための大きな苦難を、ローマ建国の英雄アエネーアスに体現させて謳いあげた作品である。ここに込められた詩人の未来へのまなざしは、今なお英雄と同じ苦悩を背負って生きる人類への励ましでもある。
目次
プロローグ ウェルギリウスとは誰?
第1部 書物の旅路―歴史の中の『アエネーイス』(「西洋の父」ウェルギリウスとヨーロッパ世界の誕生;詩人ダンテを冥界に導く;現代世界のもう一つのウェルギリウス ほか)
第2部 作品世界を読む―叙事詩が語るローマの起源(ギリシア詩人ホメロスとの対話;廃墟からの出発―嵐とトロイア陥落;遍歴と出会い―地中海放浪とカルタゴ ほか)
エピローグ 平和と共生をめざして
著者等紹介
小川正廣[オガワマサヒロ]
1951年、京都市生まれ。1979年、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。1992年、京都大学文学博士。現在、名古屋大学文学研究科教授。西洋古典学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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