書物誕生 あたらしい古典入門
ウェルギリウス『アエネーイス』―神話が語るヨーロッパ世界の原点

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  • サイズ B6判/ページ数 191p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000282895
  • NDC分類 992
  • Cコード C0310

内容説明

みずからの激動の時代体験をとおして人間と社会の問題を深く掘り下げ、知的苦闘の中から作品を生み出したウェルギリウス。このラテン文学最大の詩人が後世にあたえた影響ははかりしれない。彼の遺した大叙事詩『アエネーイス』により「ヨーロッパ」という概念は初めて創られ、またダンテ『神曲』においては主人公を冥界に導く人々としても描かれた。『アエネーイス』は、民族や人種を超え、個人が相互の理解と尊重により結びつけられる社会を創るという理想と、その実現のための大きな苦難を、ローマ建国の英雄アエネーアスに体現させて謳いあげた作品である。ここに込められた詩人の未来へのまなざしは、今なお英雄と同じ苦悩を背負って生きる人類への励ましでもある。

目次

プロローグ ウェルギリウスとは誰?
第1部 書物の旅路―歴史の中の『アエネーイス』(「西洋の父」ウェルギリウスとヨーロッパ世界の誕生;詩人ダンテを冥界に導く;現代世界のもう一つのウェルギリウス ほか)
第2部 作品世界を読む―叙事詩が語るローマの起源(ギリシア詩人ホメロスとの対話;廃墟からの出発―嵐とトロイア陥落;遍歴と出会い―地中海放浪とカルタゴ ほか)
エピローグ 平和と共生をめざして

著者等紹介

小川正廣[オガワマサヒロ]
1951年、京都市生まれ。1979年、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。1992年、京都大学文学博士。現在、名古屋大学文学研究科教授。西洋古典学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

56
古代ローマ人は自分たちの祖先がトロイア戦争の落ち武者であるアエネーアスだと信じていた。著者はその伝説をもとにしたウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」にヨーロッパの原点を探そうとしている。神々の意思に翻弄されながらも他者との共生を目指したアエネーアスに民族融和を理念として広がり続けるヨーロッパを重ねようとしているのは著者だけでなくT・S・エリオットやシェークスピア、さらには「神曲」のダンテだとしているのは興味深く感じた。「アエネーイス」の概要も掲載されていたので、いずれ読んで読んでみたいと思う。2023/03/27

KAZOO

16
ギリシャ神話の中の主人公「アエネーイス」を書いたローマの詩人ウェルギリウスとこの作品についての読まれ方が第一部で、第二部はこの作品をわかりやすく解説してくれています。私はまだこの作品は読んだことがないのですが、この解説によって読もうという気に起こさせてくれました。結構難しい本かと思いましたが、絵画や地図なども結構挿入されており読みやすく感じました。2014/06/13

viola

15
『アエネーイス』に関しての専門書。と言っても全然難しくないので、むしろ『アエネーイス』のあらすじを大体頭に入れてから読みたいなぁなんて人にも良さそう。あらすじがきれいにまとまっていました。もともとウェルギリウスは亡くなる時に『アエネーイス』を焼き捨てるように命じたけれど周りが聞いてもらえず、やむなく未発表の部分は公表するなと妥協をしたそう。しかし当時の皇帝アウグストゥスに遺作を発表しろと命令されて、残った模様。アウグストゥスがいなかったら、ダンテの『神曲』は生まれなかったでしょうね。2012/07/25

マッピー

13
間違えた!ウェルギリウスの書いた『アエネーイス』を読みたかったのに、ウェルギリウスの書いた『アエネーイス』についてを書いた本を読んでしまった。全然知らなかったのだけど、『アエネーイス』って、トロイア戦争で敗れたトロイ側の英雄の運命を詠った叙事詩だったのだ。ギリシャがトロイを攻めたことを詠ったのが『オデュッセイア』、そしてそこで敗れて逃げ落ちるトロイの人々を詠ったのが『アエネーイス』ヨーロッパの人たちはこの作品を愛し、精神の真ん中にローマ人を抱え続けている、ということがよく分かった。2018/12/03

えちぜんや よーた

13
本書が紹介している「アエネーイス」は、あのfacebookのザッカーバーグ氏が高校生の時に熱中して読んだそうです。それもラテン語で。たまに「アメリカは建国200年ちょっとの国」という言葉を耳にしますが。一部のエリート層だけとはいえ、自分たちの精神世界について、ちゃんと教養として学んでいる姿勢は、スゴイと思います。だから9億人もユーザーがついてくるんだな。2012/07/05

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