内容説明
一九五二年八月六日、原爆被害を特集した岩波写真文庫『広島―戦争と都市』が刊行されたが、名取洋之助と長野重一が撮った市内の情景は、ほとんど掲載されないまま、百余本のフィルムが残された。建設中の平和記念資料館、原爆ドームとみやげ物屋、マーケットや繁華街の賑わいなど、眠っていた名写真を、高精細印刷で初公開!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kiyoboo
32
広島に原爆が投下された日に読めてよかった。1952年、戦後7年を経ても原爆ドーム周辺は傷跡が生々しい。しかし、駅周辺は人込みができて「立ち上がる」様子が感じ取れる。人々の活気、洋画の上映、米兵が普通に街に溶け込んでいる。そのままタイムスリップしたかのようなリアルにカメラが取られた世界に魅せられる。機会があったら手に取ってください。2016/08/06
あじ
18
黙々と生活を紡いでゆく広島の人々。周りの景色も都市へと再構築され、投下から七年の歳月を歩んだ様子が記録されています。"岩波写真文庫72号広島-戦争と都市"に収録されなかったものが、今回一冊にまとめられ刊行された写真集です。2013/11/30
p.ntsk
7
所謂原爆被害を写した写真ではなく復興していく広島の街と人々の生活の営みが写し取られています。もう普通に洋画が上映されていたりしています。掲載されている写真はほとんど初公開ということで当時の状況や雰囲気を知る貴重な写真集だと思いました。2013/09/29
遠い日
4
『広島ー戦争と都市』(「岩波写真文庫」72号1952年8月6日発行)のために撮られたにも関わらず、発表されなかった写真の初公開。名取洋之助と長野重一による撮影。復興の兆しは見えるものの、まだ荒れた印象の強い町。人々の表情に、笑顔や意欲も見えるものの、疲弊した感じの家屋など。人々の内面を慮れば何も言えなくなるが、この町の今を伝えようとした撮影者の思いは十分伝わる。2013/09/03
がんぞ
2
洋画の看板がやたら目につく(邦画と違って天然色多い)、大衆娯楽3S=スクリーン、スポーツ、スピードか。占領軍(広島には英連邦軍=豪州、カナダ等も)目当てか、英語の看板も多い。54「比治山の ABCC原爆調査委員会」はも一つ「A=米国(のために)」が抜けている。鉄筋2階建て広壮な建物で寝台を乗せるためか大きな外車が前に数台停まっている(もちろん日本の医師が診察する{治療はしない}、放射能も怖いし米国人医師がくるはずない)内部の写真では幼い被曝者が(書けない)。米軍宿舎も立派。河対岸一般人は違法バラック住まい2016/05/15