出版社内容情報
シモーヌ・ヴェイユの34年の生涯は,「地表に蔓延する不幸」との闘いであった.教室で,工場で,戦火の中で,よりよき世界のために身を投じた.その比類なき誠実さと清冽な思索の全貌を,みずみずしく描きだす.
内容説明
シモーヌ・ヴェイユの三四年の生涯は、「地表に蔓延する不幸」との闘いのうちに燃焼しつくされた。リセで哲学を教えるかたわら、ナチス政権前夜のドイツを訪れ、未熟練工として旋盤を回し、内戦下のスペインに潜入し、ドイツによるパリ占拠ののちにニューヨークへ、さらにロンドンへとわたり、「自由フランス」の一室で「戦後フランスの精神的再建の青写真」の作成に没頭した。ときに周囲を驚愕させたその行動は、リセ時代の師アランに叩きこまれた自由な思考への希求と信頼とに裏打ちされていた。本書は、労働組合運動の隆盛と衰退、革命への期待と失望、無政府主義と全体主義の誘惑、戦争の不安と惨禍、そして反ユダヤ主義の時代に生きた、ひとりのユダヤ系知識人の生涯と思想構築の軌跡をたどる試みである。現在刊行中の全集をもふくむ膨大なテクストを駆使し、初期の『抑圧と自由』から最後の『根をもつこと』へといたる思索の深化のプロセスを浮かびあがらせる、ヴェイユ研究の決定版。
目次
序章 家族・師・独立―パリ(一九〇九―三一年)
第1章 全体主義と革命幻想―パリ/ベルリン(一九三〇―三三年)
第2章 「遺書」としての「自由と社会的抑圧」―パリ(一九三四年)
第3章 教室・工場・戦場のはざまで―パリ/バルセロナ(一九三四―三六年)
第4章 大戦への序曲―ヴェネツィア(一九三七―三八年)
第5章 不幸と注意力―ポルトガル/アッシジ/ソレーム(一九三五―四〇年)
第6章 政治の空白と思索の充溢―ヴィシー/マルセイユ(一九四〇―四二年)
第7章 大戦と戦後のはざまで―ニューヨーク(一九四二年)
第8章 政治理論と神秘神学―ロンドン(一九四二―四三年)
第9章 根こぎと根づきの弁証法―ロンドン(一九四三年)
終章 最後の使信―ロンドン~アッシュフォード(一九四三年)
著者等紹介
冨原真弓[トミハラマユミ]
1954年生まれ。上智大学外国語学部卒業後、フランス政府留学生としてパリ・ソルボンヌ大学に留学、哲学博士号取得。聖心女子大学哲学科教授
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さえきかずひこ
白義
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