シモーヌ・ヴェイユ

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  • サイズ B6判/ページ数 301,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000233743
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0010

出版社内容情報

シモーヌ・ヴェイユの34年の生涯は,「地表に蔓延する不幸」との闘いであった.教室で,工場で,戦火の中で,よりよき世界のために身を投じた.その比類なき誠実さと清冽な思索の全貌を,みずみずしく描きだす.

内容説明

シモーヌ・ヴェイユの三四年の生涯は、「地表に蔓延する不幸」との闘いのうちに燃焼しつくされた。リセで哲学を教えるかたわら、ナチス政権前夜のドイツを訪れ、未熟練工として旋盤を回し、内戦下のスペインに潜入し、ドイツによるパリ占拠ののちにニューヨークへ、さらにロンドンへとわたり、「自由フランス」の一室で「戦後フランスの精神的再建の青写真」の作成に没頭した。ときに周囲を驚愕させたその行動は、リセ時代の師アランに叩きこまれた自由な思考への希求と信頼とに裏打ちされていた。本書は、労働組合運動の隆盛と衰退、革命への期待と失望、無政府主義と全体主義の誘惑、戦争の不安と惨禍、そして反ユダヤ主義の時代に生きた、ひとりのユダヤ系知識人の生涯と思想構築の軌跡をたどる試みである。現在刊行中の全集をもふくむ膨大なテクストを駆使し、初期の『抑圧と自由』から最後の『根をもつこと』へといたる思索の深化のプロセスを浮かびあがらせる、ヴェイユ研究の決定版。

目次

序章 家族・師・独立―パリ(一九〇九―三一年)
第1章 全体主義と革命幻想―パリ/ベルリン(一九三〇―三三年)
第2章 「遺書」としての「自由と社会的抑圧」―パリ(一九三四年)
第3章 教室・工場・戦場のはざまで―パリ/バルセロナ(一九三四―三六年)
第4章 大戦への序曲―ヴェネツィア(一九三七―三八年)
第5章 不幸と注意力―ポルトガル/アッシジ/ソレーム(一九三五―四〇年)
第6章 政治の空白と思索の充溢―ヴィシー/マルセイユ(一九四〇―四二年)
第7章 大戦と戦後のはざまで―ニューヨーク(一九四二年)
第8章 政治理論と神秘神学―ロンドン(一九四二―四三年)
第9章 根こぎと根づきの弁証法―ロンドン(一九四三年)
終章 最後の使信―ロンドン~アッシュフォード(一九四三年)

著者等紹介

冨原真弓[トミハラマユミ]
1954年生まれ。上智大学外国語学部卒業後、フランス政府留学生としてパリ・ソルボンヌ大学に留学、哲学博士号取得。聖心女子大学哲学科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

12
鬼気迫るまで純粋さを渇望し続け、若くして燃え尽きた思索家ヴェイユの思想と生涯を追う、凛とした礎石のような評伝。極めて聡明であり、一徹した思想への意志を持ち、とことん潔癖であり孤独であるからこそ、人の世を真に俯瞰し得たが、それゆえ苦渋と屈辱と悔悟との縁が切れなかった。そこに、類稀なる生きにくさを武器にした〝天使なんかじゃない“彼女のすがたを見てしまうのはぼくだけだろうか。批評対象の心に寄り添いつつも、安易な共感を一切示さず、硬質な文体でヴェイユに伴走する著者の文体の強度もふくめて、高く評価すべき作品である。2018/03/26

白義

3
静けさと激しさが同居した孤高の思索家 それが本書を読んでのヴェイユのイメージだろうか。弱く、不幸な者への純粋な眼差し、身体的世界把握や共感をベースにした労働の省察、神学から他者を根こぎにする現代政治と社会の分析…ヴェイユの伝記と思想はこの一冊で概観できる アレントにも影響を与えたであろうこの孤高の思想家の、再評価が望まれる 日本のヴェイユ研究のスタンダード2011/01/01

えんさん(연싼)@読書メーター

2
退職する先生から貰った1冊。恥ずかしながら、この本に出会うまでシモーヌ・ヴェイユの存在を知らかった。 知識人でありながら、労働者との連帯のため自ら工場労働者となり、疲労の中で綴られる思考過程はこれまで出会った/読んだ知識人とは違っていた。 常に現場に身を置いてそこで考え、文章にしていくという作業をヴェイユは34年間という短い生涯のなかで実践していた。現場へ足を運び、そこで見聞きしたことを纏め、自分のことばを綴った私の修論スタイルだったからこそ、この本を渡されたのかもしれない…。

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