出版社内容情報
社会の揺らぎと密接不可分に現象する新しい精神病理を究明し続けてきた精神科医が,昨今のこころ理解の安易なあり方に警鐘をならし,より本質的な人間理解の視点を提示する,書き下ろしによるタイムリーな本格的考察.
内容説明
過剰な「よい人」志向、ゆがんだ自己愛、「無垢であること」への強迫観念―「世界と自己との間の独特の不調和感」のなかで、善悪の判断基準を見失った人々。「人格障害」というレッテルを貼っただけでは、このきわめて現代的な精神事象の本質をとらえきることはできない。「境界例」とよばれる精神の病理に長年取り組んできたベテラン精神科医が、単純な類型化ではすくいきれない問題の根深さ・多様さを、具体的な症例に即して丁寧に考察。普遍的価値観を見失った現代社会の病理をみすえながら、個々人の「一回的なもの」である「人格」の意味をあらためて問い直す。
目次
第1章 人格とは何か
第2章 人格と障害
第3章 人格と病気
第4章 人格と善悪
第5章 人格と倫理
著者等紹介
鈴木茂[スズキシゲル]
1948年生まれ。73年東北大学医学部卒業。73-75年岩手県立南光病院、75-85年名古屋市立大学医学部精神科に勤務、マールブルク大学客員研究員を経て、現在、県西部浜松医療センター精神科科長、名古屋市立大学医学部非常勤講師。主著に『境界例vs分裂病』(金剛出版、1991)、『境界事象と精神医学』(岩波書店、1986、1999)。共著に『境界例』(日本評論社、1998)、『治療のテルモピュライ』(星和書店、1998)、『臨床精神医学講座第2巻 精神分裂病(1)』(中山書店、1999)、『〈こころ〉の定点観測』(岩波新書、2001)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蝶尾
もん
ona