出版社内容情報
一九五二年のサンフランシスコ講和条約による「独立」の回復から,五五年体制の確立,高度経済成長による社会構造の大きな変容を経て,新自由主義・新保守主義の台頭する現在まで――沖縄や奄美などを残したままの「独立」,冷戦激化に伴う戦争責任や補償問題の棚上げ,公害や貧富の格差の拡大など様々な矛盾を抱えてきた歴史を辿る.
内容説明
戦後とは何だったのか。講和による「独立」から、55年体制の確立、経済成長による社会の変容を経て、新自由主義の台頭まで。
目次
サンフランシスコ講和条約と日本の戦後処理
アジア冷戦のなかの日米安保体制
保守支配体制の構造と展開
戦後日本の社会運動
高度経済成長と日本社会の変容
冷戦後の国際秩序と日本―東アジアの地域形成と日本外交を中心に
戦後史のなかの家族―その形成と変容
新自由主義・新保守主義の台頭と日本政治
メディア社会・消費社会とポピュラーカルチャー―戦争と暴力のイメージを中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
24
戦後の日本社会について、政治史、社会運動史、家族史、福祉史など多様な視点から分析されています。サンフランシスコ条約から安保条約の過程で、日本が独立した国でありながら米国に従属するという歪んだ社会体制になるなかで、日本の保守と革新の政治対立がどのように展開されたのかは面白く読みました。また新自由主義や新保守主義がどのように台頭していったのかも学べました。こうした歴史を押さえておくことは、今現在を把握するうえで重要だと思いました。2017/06/16
小鈴
14
論文集なので気になったものだけ読む。田間泰子「戦後史の中の家族ーその形成と変容」の図7の東芝!の社宅前で受胎調整実地指導員にお辞儀する主婦達(東京新聞1959.2.21) の写真記事の衝撃!。新生活運動は産めや増やせの家族から、家族計画を組み込みいわゆる今に繋がる近代家族像(性別役割分業)を産み出した運動。なのだが、企業の扶養家族手当ての普及と子どもの数を減らしたい国の「家族計画」政策の利害が合致!。これは知らなかったので読んで驚いたが、企業が負担を減らしたくて家族計画にまで突っ込んでたんですね!!!!2016/01/13
takeshi3017
5
岩波書店の歴史本第19巻。本編はこの巻で最後となる。(残りの三冊はテーマ巻。)戦後~現代まで。サンフランシスコ講和条約と日本の戦後処理、アジア冷戦の中の日米安保体制、保守支配体制の構造と展開、戦後日本の社会運動、高度経済成長と日本社会の変容、冷戦後の国際秩序と日本、戦後史の中の家族、新自由主義・新保守主義の台頭と日本政治、メディア社会・消費社会とポピュラーカルチャーなど。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou30319.html2021/09/03
へんかんへん
4
ルイ・ジャック・マンゲ・ダゲール、ダゲレオタイプ、五五年体制、パワーと相互依存、成長の限界、スモール・イズ・ビューティフル、福祉社会主義の三つの世界、2016/09/08
しびぞう
3
戦後〜現代。読み応えがあった。特に最近のことについては日々ニュースで追うばかりで、それらを俯瞰した文章で把握する機会がなかなか無いので「歴史」として捉えがたいものであったが、本書を読むことで、自分が生きて来た時間が既に「歴史」になっていることを実感した。ケネディがトランプのようなことを言っていたり、いわゆるクールジャパンのような構想が中曽根総理の頃には既にあった等々知ることができたのも面白かった。2019/09/25