内容説明
一九九九年九月三〇日、茨城県東海村にあるジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故。本書では「なぜ事故が起きたか」、つまり原因の考察に焦点をしぼる。最初に、事故のあらましについて現在の視点で記した。続いて、事故が日本の高速増殖炉の開発と関わっていることを論じた。また、危険な中濃縮ウランを取り扱う工程についての「安全審査」が不十分であることについても考えた。さまざまな要因による事故へと進んでしまった有様を見たあと、最後に現在の原子力の問題について触れている。
目次
どんな事故だったのか
事故の背景
事故の芽は安全審査に
作業工程の変化
最後の一線―沈澱槽への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハンギ
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東海村の臨界事故について、裁判記録などを元に調査したもの。読んでわかったのは、最初から施設ごと問題だったということである。JCOは住友金属の子会社ということで、親会社から施設をもらったそうだが、なんと住友金属の一般施設と廊下がつながっているという。そもそも臨界事故を起こした部屋はそうした、臨界事故を想定しておらず、核燃料を扱うこと自体非常に問題視される施設が使われていたということで、バケツ内臨界が問題になったが、本当は国(当時の科学技術庁)の原子力のチェック体制が甘いことから事故は起きたと指摘している。2011/05/01