出版社内容情報
空間の市場化を推し進めたグローバル経済の破綻,そして東日本大震災は,建築の未来をどう変えるのか.失われた人と大地とのつながり,人と人とのかかわりを取りもどす建築とは――.伊東豊雄,岡田利規,佐々木正人,原武史,藤森照信,御厨貴,蓑原敬と語る.建築界の第一線で飛躍をつづける著者の,震災前と後の思考の記録.
内容説明
市場化を推し進めたグローバル経済の挫折、そして東日本大震災という破局のあと、建築界の世界的フロント・ランナーは、なにを考え、建築をどのように変えようとするのか。失われた人と大地との結びつき、人と人とのかかわりを取り戻す建築とは―。伊東豊雄、岡田利規、佐々木正人、原武史、藤森照信、御厨貴、蓑原敬と語る。
目次
決断不能社会の政治と建築
歌舞伎座新たな祝祭空間へ
団地以降の集合住宅
都市と建築をつなぐ肌理
都市計画の勝負(都市への責任;コミュニティが街を動かす)
「みんなの家」から始まるもの
震災を経て生まれるフィクション
ポスト工業化社会を走る鉄道のかたち
著者等紹介
隈研吾[クマケンゴ]
1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学工学部建築学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nbhd
13
刺激的な対談集。ぐにゃぐにゃ演劇の岡田利規、アフォーダンス理論の佐々木正人とか人選も妙でおもしろい。「造形」への興味から建築に入ったけど、いろいろ読んできて「文明」というテーマもチラつく。文明の“総決算”が建築だから、建築を考えることは文明を考えることに直結する。で、震災後の日本はどんな文明か…隈さんは「後ろ向きで、縮み志向の、応急手当的な、情けない」状況だという。でも、そこが「逆におもしろくね?」っていうスタンス。ネガティブな状況だからポジティブに、というよか、絶望織り込み済みのポジティブさに好感。2017/05/31
Koichi Tamura
3
対談集。しょっぱなから「決断不能社会の政治と建築」で首相官邸がボロクソに言われていて面白い。2016/01/09
引用
2
これは当たりの本、隈研吾は当たり外れがデカすぎる2021/12/20
坂田 哲朗
1
家に帰ったら置いてあったので読みました。粒に対する感性とか、長い間世の中全体が決定不能に陥っている話とか、グローバリゼーションの波にうっちゃりをかける話とか、いろんな対話でいろんな視点の話が語られていて興味深いです。震災後の状況について「住まいと同時に、どうかせぎ、どう暮らすかも、デザインしなければならない。」とありました。私たちの周りには、先をみすえることは大事と言い繕いながら「とりあえず」のことしか考えずに本当に呼びかけられていることに耳を傾けないことが多くあるように思いました。2017/08/13
A
1
集合住宅における空間と思想の関係についての隈さんと原武史さんの対談が面白かった。コルビュジエが、人々に物質的満足を与えて革命から社会を守るというのが建築の役割だと述べたのに対して、日本では逆に団地という建築の存在が人々に革命的な気分を起こさせたというのは、建築と政治の関係性を考える上で興味深い。また、住宅私有という考えが集合住宅を巡る様々な問題の根源で、私有で得られる安心感はフィクションだし、住宅私有は経済的にも短期的なメリットしかないのだから、その考えを改めるべしという隈さんの主張はもっともという感じ。2015/04/18