目次
“物語”の認識システム
第1部 “物語”の誕生と展開―『風の歌を聴け』から『ノルウェイの森』(未分化の“物語”―原点と三系譜の源流;“物語”の展開―進化する三系譜)
第2部 書く行為と語る行為/改稿・記憶・トラウマ―『中国行きのスロウ・ボート』の世界(改稿という「問題領域」―Textual Criticismの視座から;書く行為と語る行為―記憶とトラウマ)
著者等紹介
山根由美恵[ヤマネユミエ]
1997年広島大学教育学部卒業。2003年広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。現在、広島国際大学・鈴峯女子短期大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KASAO
4
村上春樹の一般的な批評に対して、別角度での読みを試みている研究本。『ノルウェイの森』の実質的なヒロインは緑。『世界の終わりと~』は並列、順列の世界ではなく転換しあう世界。『羊をめぐる冒険』の羊とは? など、作品の新しい読み方を開拓してる。個人的な注目は村上春樹の作品における、これはトラウマだ、という断言するような読み方への批評。人間は簡単にトラウマを持たない。よく心の傷とか言うが、それは読み手側が勝手に解釈しているだけではないのか。確かに読んでいて辻褄が合わせやすいから自分もそういう読み方をしているかも…2012/10/19