Murakami Haruki study books
村上春樹論―サブカルチャーと倫理

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784948755932
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0395

目次

村上春樹と吉本ばなな―「おたく」だけがあっさりと汎世界性を手にした皮肉
「ぼく」と国家とねじまき鳥の呪い
ノンフィクションと非「暴力」―村上春樹『アンダーグラウンド』を読む
村上春樹にとっての「日本」と「日本語」
村上春樹はなぜ「謎本」を誘発するのか
庄司薫はデレク・ハートフィールドなのか
村上春樹と村上龍の「私」語りをめぐって
サブカルチャーである、ということ
神戸震災文学論
「文学」である大江健三郎と「サブカルチャー」である村上春樹の間に線引きし、小説家はどこで人殺しをするべきなのかを考える。

著者等紹介

大塚英志[オオツカエイジ]
1958年生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒。まんが雑誌の編集者を経て、まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授。批評誌『新現実』主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

バグマン

4
「歴史」を失った日本では文学が困難である。中上健次でさえ、途中から「偽史」=サブカルチャー(ジャンクの寄せ集め)によって物語る方向へ進んでしまった。歴史の不在により、文学が現実を反映し、現実に影響を及ぼす、ということが信じられなくなってしまう。むしろそれを信じてしまうのは大きな誤りだ。偽史を担ぎ出して現実を構築するのはオウム真理教と変わらない。「記号しかない」「サブカルチャーしかない」という空虚さに耐え、歴史の虚構化を徹底した村上春樹が、結果的に当時もっとも倫理的だった、というのが大塚英志の主張。2014/06/25

i-miya

4
サブタイトル=サブカルチャーと倫理/ P003 ○村上春樹と吉本ばなな/ ○<ぼく>と国家と『ねじまき鳥』の呪い/ 戦後の日本がそもそも<正史>を欠いている。社会が<歴史>を欠いていた。麻原しょうこうがはじめて<正史>を説いた。<正史>さえ語れない保守論壇の人々。○村上春樹作品と<歴史>/ P038 ○ノンフィクションと非「暴力」-『アンダーグラウンド』/ P044 麻原が用いた物語の方法「まわりにあるジャンクを積極的に寄せ集め、流れを作る」これは村上春樹の方法と同一。2009/11/07

4
ばなな、龍、庄司薫、大江健三郎など作家との対比。日本文学の変遷、村上春樹文学が獲得したモノ―きっと彼を好きではなくとも、読み応えもあるしおもしろいものだと思う。2009/07/13

なつのおすすめあにめ

2
とにかく国内の評価と世界的な評価とがズレている作家、村上春樹。主に国内では叩かれている印象で、それに対抗するために内田樹は『村上春樹にご用心』でベタ褒めしてバランスをとっていた。では大塚英志はどうか?サブカルチャーの責任に自覚的であるとして、(欠点を指摘しつつも)『ねじまき鳥』『アンダーグラウンド』を評価すると書いている。これはかなりフェアな態度だ。しかしこの後の本で「構造しかない」と大塚は言うらしいのだが…。『物語論で読む村上春樹と宮崎駿』と『サブカルチャー文学論』を読んで大塚の村上春樹論を補強したい。2017/10/10

aoi_zero

2
村上春樹ってそんなに深読み出来る作家だったのか。ちょっと読み直したくなってきた。小説内における現実→記号→象徴の関係性の話が面白かった2009/11/25

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