内容説明
音楽批評、映画批評、文芸批評…そして批評の言葉はジャンルを「貫通」する本気で書きたい人のための「批評」入門。
目次
「批評家養成ギブス」は何をするのか
音楽批評
映画批評
文芸批評
その他のジャンル
「貫通」する批評
著者等紹介
佐々木敦[ササキアツシ]
1964年生まれ。批評家。HEADZ主宰。BRAINZ塾長。エクス・ポ編集発行人。ヒアホン発行人。早稲田大学、武蔵野美術大学で非常勤講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
59
著者が主催するワークショップでの講義を元にした本。著者のこれまで書いてきた批評、映画音楽文芸とその他ごとの代表的な読むべき評論家と著作を案内し、彼なりの書き方を語る。生徒に課題を与え添削をしたりもする。やはり蓮實重彦という存在は映画・文芸評論のどちらも欠かせない。音楽批評については、あまり読んだことがないので少しは触れてみようと思う。散漫に感じるところもあるが分かりやすくざっくばらんで好ましく読めた。良書。2017/06/23
ころこ
38
著者は、批評はコミュニケーションだといっています。それは「ひらめき☆マンガ教室」でいわれていた「文法」のことではありません。本書では「文法」のことを「表面張力」と表現しています。著者はその「表面張力」を否定的に考えます。そのジャンルや、そこでの人間関係が醸し出している空気におもねることを一旦切断し、新たな回路を接続して、新たな文脈での批評対象や読者とのコミュニケーションが批評だといいます。音楽、映画、文芸と、対象は多岐にわたり、そのどれにもコミットしないため、この態度はどこからもよそ者扱いをされます。しか2019/03/26
masabi
17
【要旨】批評家佐々木敦氏が語る批評観。【感想】複数のジャンルで同じ問題群を抉り出すことが貫通する批評である。筆者の考える批評や批評観、自身の批評の解説など批評に関するあれこれがある。内容だけでなく文体も批評を構成するというのはなるほど。小林秀雄や柄谷行人を読んでみたい。2016/11/21
しゅん
6
批評することに意識的になったのは5、6年前にこの本を読んだせい。ここに書かれている、同じ表現方法ではない全くジャンルの違う作品につながりを感じるという意識を自分はずっと大事にしてきたし、今もそれは変わらない。自意識を消そうとする姿勢を持っている人だからか、佐々木敦は権威を感じさせない、普通っぽい人の印象が受ける。だが、映画・音楽・文学・演劇それぞれのジャンルに対して専門家に劣らない知識量を持っているのはどう考えても普通じゃない。藝術に取り憑かれている人間の危うさも感じさせてくれるところがスリリング。2016/10/30
NICK
5
批評というのは文学研究とはまた違う、読みの快楽を産み出すような一つの創造的行為というようなことを言っていて、なるほど、とかなり腑に落ちた。確かに批評文(あるいは批評的作品)を読んだときに感じるのは「おお、こういう読みも可能なのか」という驚きだ。しかしそうした批評を産み出すには音楽家めいた、シネフィルめいた、読書家めいた情熱が必要になってくるんだろうなぁ、と呆然とするほかない。音楽も映画もあまり身近でないので実感できるところはそこまで多くなかったが、批評という営みがいかになされるかの一端がわかる気がする2012/07/04