出版社内容情報
「文学のモナ・リザ」、「演劇のスフィンクス」と呼ばれて謎に満ちる『ハムレット』。著者は、ゲーテや、キルケゴール、マラルメらの受容史を総括してのち、作品をそれが生み出された時代ルネサンスに置き直し、作中のルネサンス的要因を見極めながら、伏在するさまざまな謎をつぎつぎと鮮やかに解いてゆく。名作の名作たるゆえんも、徹底した読みとともにおのずと示されてゆく。それとともに、『ハムレット』は復讐劇などではなく、ハムレットが自分の存在のありようを模索しつつ自分と戦う物語であることが判然とする。そして著者は、この作品が、アイデンティティ、自分とは何かという、極めて現代的でもある問題を主題とすることを明らかにしたうえで、最終章、作品の根本的な理解へと導く最大の謎を解明する段で、これまでの長いハムレット批評史でも全く言われることのなかった、ある意外な人物を浮びあがらせる……
第1章 『ハムレット』の謎を解く意味
――序に代えて
第2章 ハムレットは優柔不断な哲学青年か?
――ロマン主義解釈の誤り
第3章 なぜ復讐を遅らせるのか?
――To be, or not to be の表すもの
第4章 鏡としての演劇、ルネサンスの表象
――奇妙な視点、パスペクティヴ
第5章 「弱き者、その名は女だ」とは?
――ルネサンス人間観のもたらすもの
第6章 ハムレットの「狂気」とは?
――「尼寺へ行け」に籠められているもの
第7章 『ハムレット』最大の謎
――復讐するは我にあり
著者略歴
1960年生れ。東京大学英文科卒。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士号取得。ケンブリッジ大学トリニティ・ホール留学、修士号・博士号取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授。
著書:『ハムレットは太っていた!』(白水社、2001)
共編著:『シェイクスピアへの架け橋』(東京大学出版会、1998)
共編注:『ハムレット』(大修館シェイクスピア双書、2001)
訳書:C・W・ホッジズ『絵で見るシェイクスピアの舞台』(研究社出版、2000)、ジョン・アプダイク『ガートルードとクローディアス』(白水社、2002)、『新訳ハムレット』(角川文庫、2003)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takakomama
rosa
グーグー
penguin
Hiro