内容説明
近代大阪の発展は朝鮮からの労働者ぬきには考えられない。暮らしの中で朝鮮人と出会った日本人の外国人認識はどのように形成されてきたのだろうか。
目次
序章 大阪・今里からの世界史
第1章 春玉たちの大阪―在阪朝鮮人史の特徴
第2章 済州島から猪飼野へ―在阪朝鮮人の渡航過程
第3章 「君が代丸」考―大阪済州島航路の開設と展開
第4章 ゴム工場の街・猪飼野―在阪朝鮮人の定着過程
第5章 「同化」のまなざし―朝鮮人をめぐる近代都市大阪の言説空間
終章 大阪・今里からの世界史再論―むすびにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shinya Fukuda
1
米團治の落語代書屋の中の妹を大阪に呼び寄せるために渡航証明を書いてくださいと言ってくる朝鮮人の話から始まる。大阪市東成区(今の生野区)猪飼野には朝鮮人が多く住んでいる。この状況は1920年代から始まった。零細なゴム工場で働く人が多かった。彼らの多くは済州島の出身で尼崎汽船部の運航する君が代丸でやってきた。地縁血縁を頼ってのケースが多かつた。膨大な文献や数字が駆使されている。読みどころは第Ⅴ章か。当時の知識階層による対朝鮮人観を知ることができる。著者の異文化との対面から世界史を考えるという視座はユニークだ。2023/04/27
えんさん(연싼)@読書メーター
1
日本による朝鮮の植民地支配を近代化のためと正当化する意見がある。この言葉は、朝鮮民族が日本に比べて低水準の生活だから、きんだが必要だ、という支配当時の言葉と変わらないと感じた。また、半島の貧困から脱出のための出稼ぎが自発的に日本へ移動したように見せかける点は、自発的に行った(行かねばならなかった)「慰安婦」と同じ構造のはずだ。2015/08/26
k66gunso0822
0
言い回しや文章構成が複雑で 読解するのに時間がかかりました。しかし 著者の熱い思いが感じられます。こんなに前から言われているのに 差別がなくならい現状・社会・・・。 2010/12/13