感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
9
ソ連の軍事介入によって亡命した著者が故郷を綴った散文詩。路面電車の終点、街中の階段、傾斜する地勢など端からは個性的と感じ難い場所のうちに都市/土地の地霊を認める著者。表層と深層の区別なく著者が掘り出した街の姿は、何故か懐かしく感じられる。著者の亡命時点から五十年、今でもその姿を感じることはできるのだろうか。観光客の身ではすくい取れないと判ってはいても、その上澄みだけでも嗅ぎたくなりプラハを訪れたくなる一冊。2018/01/01
Help me
1
詩人である筆者らしくプラハの街の模様を観念的に描写している。石畳や都市模様について「灰色」と表現することが多く、これもよく知られるプラハ市街の暖色豊かなイメージとは異なる(よくよく見ると本の装丁も灰色)。筆者はシュルレアリスムの文壇で知られた割に超現実的な描写はほとんどないのだが、何故か路面電車についてだけは死に関わる描写が3つも見られる点については今後の理解が楽しみ。2015/09/10
Dの字
0
プラハに生まれ育ち、フランスに亡命した詩人ペトルクラールの、プラハについての追憶。プラハと言えばカフカかな、というぐらいな知っているような知らないような微妙なところ。そんなどこともつかない場所にまつわるうろ覚え物語は、思ったとおり面白かった。2015/01/06