目次
第1篇 ヘーゲル哲学とその唯物論的読解の可能性(ヘーゲル哲学の一般的性格;唯物論的理解への道)
第2篇 ヘーゲル弁証法の3大特色とその根拠(徹底した内在的考察の態度;歴史主義的見地;総体性の立場;ヘーゲル弁証法の一般的定式化とその根拠)
第3篇 マルクス弁証法の本質―ヘーゲル弁証法との差異について(マルクス弁証法の主体的根拠としての実践的唯物論の立場;唯物論と内在的弁証法との合体;絶体的歴史主義に立脚した総体性の立場)
感想・レビュー
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実存主義的マルクス主義者を目指して勉強するアライさん
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ヘーゲルの観念論的弁証法を批判的に摂取し、マルクスが如何にして自身の実践的唯物論を築き上げていったかが詳細に論じられており、マルクス弁証法の解説書という側面も持つ本。ヘーゲル論理学の難解な論理展開でちんぷんかんぷんにさせられた後、『資本論』や『経済学批判要綱』の適用例を挙げてくれる親切な構成になっている。特に「限界」「制限」「当為」というヘーゲルの歴史主義的概念を用いて資本主義社会の内在的超出の過程を分析するマルクスの手腕には唸らされる。ただ、ある程度哲学の前提知識がないと読み通すのは厳しいかもしれない。2019/09/05