目次
第1章 高齢者の孤独(葬式写真;浜辺の庭掃除 ほか)
第2章 高齢者をめぐる家族の変化(“引きこもり”の子を持つ親が要介護者になるとき;“昭和一桁以降”世代の介護問題 ほか)
第3章 高齢者虐待(「高齢者虐待防止・養護者支援法」施行によせて;高齢者虐待とジェンダー ほか)
第4章 高齢者を支援するということ(ホームヘルパーは専門職;あるグループホームを訪ねて ほか)
著者等紹介
春日キスヨ[カスガキスヨ]
京都精華大学・安田女子大学教授等を経て、2006年から松山大学人文学部社会学科教授。専攻は家族社会学、ケアの社会学。父子家庭の生活問題、高齢者の介護問題など、家族問題について現場の支援者たちと協働で研究。2000年以降は介護保険開始にともなって新たに浮上してきた家族問題を「処遇困難ケース」や「高齢者虐待問題」を通して研究。著書に『介護とジェンダー』(家族社・1998年山川菊栄賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
22
高齢者介護の問題をジェンダーの観点から論じた著作。社会学者の月刊誌連載コラムと書き下ろしから成る。高齢者虐待の被害者の性別を見ると、77%が女性である。そして虐待の加害者の「続き柄」を見ると、最も多いのが「息子」で40.6%とされている。その原因は非正規雇用労働者が増えたこととジェンダー規範にあると著者はいう。つまり、親元同居をするしかないほど貧しく、性別役割分業社会のなか、家事能力が未熟なまま育った男性が加害者になる傾向にある。初出が2008年であるが、この傾向は今でも殆ど変わらない。胸が詰まる。2021/12/19