内容説明
美しくも寂しく怖い、この世の果ての風景。鉄筆社創立記念特別書き下ろし小説=表題作216枚ほか、傑作短篇「カラスアゲハ」「アプザイレン」「まんげつ」所収。
著者等紹介
辺見庸[ヘンミヨウ]
1944年宮城県石巻市生まれ。早稲田大学文学部卒業。1970年共同通信社入社。北京特派員、ハノイ支局長、編集委員などを経て、1996年退社。1978年日本新聞協会賞、1991年『自動起床装置』(文藝春秋)で芥川賞、1994年『もの食う人びと』(共同通信社)で講談社ノンフィクション賞、2011年『詩文集生首』(毎日新聞社)で中原中也賞、2012年『眼の海』(毎日新聞社)で高見順賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
5
恥ずかしながら「文学者」としての辺見庸氏に関しては殆どノーマークだったので、こんな凄まじい小説(あるいは散文詩か?)を書いてしまうのかと打ちのめされた。いや、相変わらずレトリックの過剰さと相当自己愛/ナルシシズムが匂うところは賛否が別れるかもしれない。だが、ここまで強靭な思索とその果ての言葉によって織り成された作品はちょっと他に連想出来ない。このような作品を母国語で読めることは果たして僥倖なのか。迂闊に近づくとそれがファンであれ容赦なくぶった斬る氏の凶暴さがまたしても全開になっている一冊だ。いや凄まじい!2016/03/20
mortalis
4
災害か戦争かで滅亡した町全体がゆっくりと完全に死のむこうに去っていく話だと思って読んだ。生きている者の間に死者がいるかもしれないという観念のちょうど裏面のように、死者たちのそばに生命が共にあるという事もあるのだろうか。陰鬱な雰囲気だが、悲惨というのとは違う。意味が剥落していって悲惨とかそういうものの成り立ちが空になっていて、ぶれる、何かよくわからないものが充填される。だが、残るものは残るというところもある。大変な詩的構想力・表現力だと思う。一緒に収録されている「カラスアゲハ」もとても良かった。2015/11/28
kaya
2
霧の中を三本脚の犬が歩いてる。どこへ行っても暗くてじめじめしてる。投げやりでおかしくて、意味がわからない。ああ、滅びの前の世界ってこういうかんじなのか。想像力をひどく掻き立てられまくった。2015/03/13
yasuko
1
禅問答のような文章で、内容も何が言いたいのか、私には難解でよくわからなかった。2022/10/23
紫苑
1
帯に「美しくも寂しく怖い、この世の果ての風景。」とある。現代の事象に近寄せて読むにはためらいがあるが、示唆している部分も多いように思う。Zが「疲れていた」という描写が現れるころから、温度が変わったように感じた。混合し、くずれてゆくことば。2015/04/20