内容説明
最高規範とは何か。法の支配とはどういうことか。自由、平和、民主主義…戦後的価値のために闘う憲法改正構想とは。憲法論争の裏側をえぐり、あらゆる負の回路を明るみに出す。
目次
プロローグ 改憲、心は千々に乱れ
第1章 戦後的自明性の崩壊
第2章 普遍的な規範とは―正義論講義
第3章 ヘイトスピーチと言論の自由
第4章 ガラス細工の心と社会
第5章 なんのための改憲か
エピローグ 自己を信じられない私たち
著者等紹介
井上達夫[イノウエタツオ]
原理的なリベラリズムの立場に立って、憲法問題から政局まで、鋭く切り込む。1954年生まれ。専攻、法哲学。東京大学大学院法学政治学研究科教授
香山リカ[カヤマリカ]
たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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於間抜新吾
4
憲法9条はやはり、真っ向から考えなければならない問題なのだあとよく分かり気持ち新たになった。2019/11/25
pb_lack
3
表現の自由とヘイトスピーチ、正義・正統性、改憲が主なテーマ。憲法については護憲・改憲の各問題点をおさらいする内容。護憲派も改憲案をというのは現状の解釈が問題ありとする点で説得的。表現関連は、表現そのものか具体的行為かでやや平行線のまま終わる。一番おもしろかったのは正義論と正統性のところかな。「正義概念とは、正義の構想の資格についての最低条件を定めるもの」とする。その中で反転可能性テスト、ロック的ただし書きといったもので測る。異なる正義に権力が移った場合に備える「敬譲」は現状では難しいかもなあ。2018/03/08