内容説明
「靖国問題」「機密費」「琉球処分」「プーチン流イデオロギー」「北朝鮮核実験」…30のキーワードを手がかりに、著者のみがなしうる思索と驚異的な情報術によって、日本と世界のもっともリアルな姿を提示する。
目次
『週刊金曜日』への私の想い―序論として
日露首脳会談―ロシアの“シグナル”を解読できなかった外務省の罪
上海領事自殺事件―外務省で起きた抗争と幕引きを急ぐ背景
機密費―報償費関連文書を開示せよ
嫌韓流―第一線の日本外交官に浸透した危機な“情緒”
日露関係―プーチン大統領と官僚の間隙に手を突っ込め
イラン問題―欧米主要国が警戒するイランと日本の特殊な関係
靖国問題―歴史を背負う国家首脳がとるべき姿勢とは
漁船銃撃事件―北方領土の拿捕事件で逃げる松田ロシア課長
袴田茂樹教授の「北方領土ビジネス」―国民にツケを回す空想論と訣別を〔ほか〕
著者等紹介
佐藤優[サトウマサル]
1960年生まれ。起訴休職外務事務官・作家。同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、外務省本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、一・二審で執行猶予付き有罪判決を受ける。現在上告中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しびぞう
2
2008年の出版。2008年とはどんな空気感の時代だったのかを再考する価値があるかもしれない。佐藤氏でさえも専門であるロシア情勢の分析に冴えがない。いわんや国民をや。この空気感が後の民主党政権発足を促してしまったのだろうと、10年後の今ならば言える。あとがきに言及されていた、この頃ブームだった「蟹工船」を読んでみたらヒントがあるだろうか。2018/05/31
Ted
2
2年ほど前の著作だが、インテリジェンスのプロから眺めた世界情勢に対する認識は正鵠を射ており、いつもながら感心させられる。特殊な業界で培ってきた経験をもとに、日本の国益に大きな影響を及ぼす周辺諸国を鋭く分析しているが、内容が普遍的で本質を突いているので、普通の社会生活を送る上でも応用が利き、大いに参考になる。「本当にやりたいことがある人には、神様は必ず場所を用意してくれます」という著者の恩師の言葉が印象に残った。2010/06/20
806_shusaku
0
週刊金曜日の2006年3月から2008年5月までの著作をまとめた一冊。国内外の情勢に対してあいかわらず濃い論考がなされている。様々な問題が起こる中で、現実的な対応によって国益重視で行動するスタンスには共感する。ただし自分にはイデオロギーの軸はないのが問題だ。社会に流れている空気を感じ取ってジャッジするだけではなく、どういったベースの考え方があって判断していくのか。今の自分にとって非常に重要な命題。2015/02/15
Shiho F
0
著者の経験と膨大な知識による見識には、とても説得力がある。中国産餃子への薬物混入の章にあった、「日中関係がより良好ならば起きなかったかもしれない」という、経験(ロシアに流通している中国製品より、シンガポールで流通している中国製品の方が質がよい)による言葉にはハッとさせられた。 沖縄問題や、外交ルールについてもいろいろと学べた、一冊の密度が高い本だった。2012/09/08
ceskepivo
0
著者のアウトプットの能力には恐れ入る。恩師の「役所に勤めて数年たつと組織の論理でしか物事を考えられなくなります」という言葉が印象的。組織に属しながら、個人として物事を考える能力は、個人の内面のバランスを取るために大切。2012/08/26