出版社内容情報
目 次
第1章 告知に関する死生観の比較研究
1.緒言 5
2.調査目的 7
3.調査方法 8
4.結果 11
5.考察 21
6.おわりに 26
第2章 脳死および臓器移植を考える
1.緒言 29
2.調査目的 31
3.調査方法 32
4.結果 34
5.考察 40
第3章 インフォームド・コンセントにおける情報提供と患者の心理
1.緒言 47
2.調査目的 49
3.調査方法 49
4.結果 51
5.考察 54
第4章 学童期の病児のターミナルケア
-A子の事例から-
1.緒言 61
2.研究目的 61
3.研究方法 62
4.結果 65
5.考察 68
第5章 末期医療におけるナラティブ・セラピーの可能性
1.緒言 71
2.事例 73
3.考察 81
第6章 医療者にとっての患者の死
1.緒言 85
2.調査 85
3.考察 90
引用文献 95
おわりに 103
はじめに
もし,自分が「ガン」になったら,それを伝えてほしいと思うだろうか。あるいは自分の親や子どもがそうなったら,自分は伝えるであろうか。あるいは伝えるべきであろうか。そしてかけがえのない,愛する人が,万一,「臓器移植」をすれば助かるというとき,我々はどのような態度をとるであろうか。解答のない難しい問題であるが,ガン告知や臓器移植といった問題は「死」ととなりあわせにある重大な問題である。そして,我々が死を意識しながら生をよりよく生きるということができれば,このような問題を健康なときこそ考えることは意味のあることと思われる。
また,患者が末期の状況にあるとき,よりその人らしく最期を生きるために,どのような心理的ケア,援助が望まれるであろうか。末期にいる患者が一般成人であるときはさることながら,それが成長期にある子どもの場合,それをとりまく人々はどのように関わることができるであろうか。
本書は,ガン告知や臓器移植といった生命倫理に関わる問題に医療知識が特にない普通の人がどう考えているのか,またインフォームド・コンセントにおいて情報を医療者側から提供されるとき患者はどのような心理状態であるのか,さらに