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内容説明
横丁、路地裏、色街跡―昭和の怪しさを訪ね歩く。数奇な歴史と高低差に富む地形。人はなぜこの街に引き寄せられるのか。
目次
第1章 高低差が生んだ混沌
第2章 上野“九龍城ビル”に潜入する
第3章 男色の街上野
第4章 秘密を宿す女たち
第5章 宝石とスラム街
第6章 アメ横の光と影
第7章 不忍池の蓮の葉に溜まる者たち
第8章 パチンコ村とキムチ横丁
第9章 事件とドラマは上野で起きる
著者等紹介
本橋信宏[モトハシノブヒロ]
1956年4月4日所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。逍遙と実践による壮大な庶民史をライフワークとしている。現在、都内暮らし。半生を振り返り、バブル焼け跡派と自称する。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
89
{2016年} 流行の発信地としていくつもの「日本初」を生んできた上野。公園、動物園、喫茶店、大博覧会、地下鉄、エレベーターガール、カツサンド、お子さまランチ、パンダ来日、モナリザ公開など。聖と俗が隣接する土地。男色を売る宿が繁盛し、「葵部落」と呼ばれる貧しい人々の集落が形成され、今は右手はアメ横、パチンコ村、ジュエリー問屋街、キムチ横丁。左手は国立西洋美術館などの文化ゾーン。そんな事はお構いなしと風俗店やラブホテル、たちんぼ、ホームレスといった社会から弾かれた人々がより集まってくる魑魅魍魎が跋扈する街。2016/09/15
honyomuhito
72
徳川幕府は鬼門封じのために上野に寛永寺を建て、不忍池を琵琶湖に見立て、琵琶湖の竹生島にならって不忍池に弁天島を築いたそうだ。陽と陰が隣り合わせにぴったり張り付いたような街。決して若いエネルギーに溢れているわけではないが、ずっと様々なものをのみこんでそこにある。ごっちゃごちゃですね。本の内容もごっちゃごちゃ。風俗。男色。部落。宝石街にアメ横。完熟街娼じいさんばあさん。コリアンタウンにはては永山則夫ときたもんだ。まさにカオス。https://chirakattahondana.com/上野アンダーグラウンド/2019/04/01
fwhd8325
34
北千住を起点にすると、上野は最初の繁華街。日比谷線を使うから、次の繁華街は銀座。子どもの頃は、ここまでが東京。乗り換えていく新宿、渋谷は、遠くまで来た印象だった。上野と銀座の中間にある秋葉原は、電気の専門街だけの街だった。あの頃、上野は、何でもある街だった。映画館、デパート、動物園。足を伸ばせば、浅草にも行ける。ハレとケが共存する街だ。今でも、この街には、気を許せない緊張感と安心感を感じる。ふと気を許すと肩すかしを食らいそうな街。本橋さんは、そんな上野の空気をしっかり活字にしてくれました。2016/10/25
おいしゃん
32
著者の事件ルポも好きだが、街シリーズも面白い。各章の脈絡なさが気になりつつも、上野の懐の深さを多面的に切り込んでいるとも読める。鶯谷・渋谷円山町・新橋に続き、興味深く読了。2021/10/22
kk
23
聖と俗と情念がないまぜに渦巻いて、独特の魅力と魔力を醸し出す街。そんな上野の来し方とそこに息づく人々の生き様に迫ろうとする怪作。よく知っていたつもりの街の違う横顔を垣間見る心持ちで、またしても己の無知の程を思い知らされました。風俗産業についての記述には些か辟易させられましたが、知的な興味もそれなりに唆られて、基本的には楽しく読める一冊でした。2022/06/08