感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
18
植松死刑囚を事件に駆り立てた動機は、想像以上に浅い。彼の言う終末思想は、イルミナティカードを信じ込んだもの。「心失者」の定義も、第一審で小指を嚙みちぎったのも、映画のパクリ。確固たる哲学なき者は、浅薄なことに影響されやすいが、彼はその典型。控訴を取り下げ、死刑を確定させたのも、何かに感化され、粋がった故だろう。だが、獄内で描いている漫画の画力が上がっていると聞く。先日、再審請求したのは、今更ながら夢中になれるものを見つけ、もう少し生きたいという気になったからか。2022/04/29
マイケル
5
2016年7月26日事件発生。犯人のイラストや手記が中心だった前作と違い本作は裁判が中心。職員の生々しい証言。遺族の悲しみと怒りが涙を誘う。美帆さんの母親の証言は娘を本当に愛していたことが伝わってくる。責任能力と大麻との関連に矮小化した裁判。裁判で触れていないコスト至上主義の問題は残っている。友人も多く意外にも「リア充」。最後の晩餐を共にした女性の証言。例えば「京アニ放火」などの事件の犯人とは大きく異なる普通の青年。判決文によると大麻は脇役で犯人の背中を最後に一押ししたのはイルミナティカードかTランプか?2020/07/26
naporin
5
差別の根は無知にある。障害者の置かれてる現実をぼんやりとしか認識していなかったことを知った。殺された障害者とも、殺した植松とも、すべての人間は地続きである、が障害者を犯罪者を特別な人間として切り離すことで、私は安心できる。また、犯罪がおこった通底には経済的効率を第一とする社会風潮があるようにも感じる。この事件を特別な人間が起こした、得意な犯罪として考えることを止めてはいけない。2020/07/16
Akio Kudo
3
★★★★★ 施設の管理体制まで踏み込んだことは評価したい2021/12/06
かみーゆ
2
れいわの木村議員や野田聖子氏が語る差別の現実、神出病院の件なんて本当に氷山の一角でしかないと思わせる現場の悲惨さ、中間報告までてなぜか打ち切られたやまゆり園利用者支援検証委員会。すべてに絶望しますよね。植松は突然変異のモンスターではなく、次々生まれてくる土壌があるってことが、パンドラの箱に入ってたのかもしれないですね。最後に希望が残ってるとはあんまり思えませんけれども。。2021/05/19