内容説明
芸術の始まりに立ち戻り、人間がものをつくることを問い直す。人間の思索のみに閉じるアートに、皮膚の森から啼き声があがる―
目次
1 あたらしい声(人間と動物の境界に出現するアート;「人間の向こう則」へ;つくれないアーティスト;トークセッション)
2 ダイアログの旅(「贈与」と「交換」;初めてつくるもの;同じものではいられない;夜の山を歩く子)
3 どうぶつのことば(想像力;動物、猟;動物の言葉を借りにいく;物語るテーブルランナー;地球の断面図;ある三匹の語り;皮緞帳をくぐり)
著者等紹介
鴻池朋子[コウノイケトモコ]
1960年秋田県生まれ。1985年東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業後、玩具と雑貨のデザインに携わり、その後、絵画、彫刻、絵本、アニメーション、テキストなど多様なメディアを用い、現代の神話を壮大なトータルインスタレーションで発表し国内外で評価を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エル・トポ
6
夏に新国立美術館「古典×現代2020」で初めて彼女の作品を体験しました。アーティゾン美術館で企画展があると知り9月迎い、その世界観に呑まれました。 彼女にとって、創造するということは「食べる事」「排泄する事」「地球の自転している事」と同じくらい【生きる】ということなんだろう。 美術館という白い箱には収まりきれない。鑑賞するものではなく、体験するもの。 夢中なって、でも一度にたくさんは読めなくて、二週間かけて、じっくり、じっくり読みました。 大雪に埋もれた秋田の山小屋に展示された作品を見にいきたくなった。2020/11/13
りー
6
2016年に群馬県立近代美術館で開かれていた、「鴻池朋子展 根源的暴力vol.2」を、偶然、観ました。自分のど真ん中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、仰天し、つくった人は何を考えているのだろう?と、純粋に疑問を持ちました。おや、本になって出版されるらしい・・・でもその時はまだ自分に受け入れる地力が無かった。やっと読めました。「彷徨っている時期というのは、精神的にも一番自分がかぼそくなっている時期でもありますが、その一番か弱い何かが、体の奥の方で必死に叫んでいるんです。」その声こそが、暴力なのかもしれません。2018/08/20
rooneytom
5
すごい。物語が息を吹き返す。観客はもはや人間だけではない。2019/02/01
あさがお
3
アーティゾン美術館の「ちゅうがえり」展があまりにも面白くて、アート作品にこんなにゾグゾクさせられることはなかった。なんで彼女の作品にこんなに魅せられてしまうのか。その理由を知りたい人はぜひ読んでほしい!2020/10/01
トビケ
1
月明かりの中、戸外の露天風呂まで歩いていき、背の高い木々が風に向かって音を立てたことに子供が、怖いと怯えた、そんなことを思い出した。2018/03/09