内容説明
小さな特権がいつの間にか大きな権力に権力の横暴への歯止めはどこにあるか。G・オーウェルの慧眼をテコに政治のからくりを縦横に透視する。
目次
プロローグ 逆ユートピア小説は警告する
第1章 豚のメージャー爺さんの大演説
第2章 動物革命の勝利
第3章 豚の特権階級化の芽生え
第4章 反革命を撃退する
第5章 ナポレオン独裁体制のはじまり
第6章 路線転換
第7章 反乱から大粛清へ
第8章 風車の完成、爆破、そして辛うじての戦勝
第9章 ボクサー葬送
第10章 裏切られた革命
著者等紹介
西川伸一[ニシカワシンイチ]
1961年新潟県生まれ。1990年明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程退学。現在、明治大学政治経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
17
授業で輪読するのに再読。アシスタントをしてくれている院生君いわく、「なめてました」(笑)。昨年の講義を受講して、『動物農場』の書評を提出していた四回生も、「本書を読んで、自分の読みがいかに浅かったかわかりました」。読みとき方の指南をしてもらえる本であり、ひいては書く側がいかに細部まで検討しているかを再認識させてくれる本です。でもユーモアがあって、著者の主張や私事も出てきて、親しみやすいです。とってもおすすめ。2016/11/01
Nobuko Hashimoto
14
『動物農場』は予備知識なく読んでも面白いのですが、オーウェルが作品に込めた批判や隠喩がわかるともっと面白くなります。この本はそれを手助けしてくれます。さらに、こんな事件、こんな歴史も想起できるとか、政治学ではこうした事象をこのように一般化しているというように、古代から現代に至るまでのさまざまな政治的、歴史的現象を引き出してわかりやすく解説しています。「政治学」とは付いていますが気負うことなく読むことができます。一つのテキスト(原典)を読み解き、そこから連想できる事象を発展的に考察するお手本になる本です。2015/11/10
やつぽん
2
政治の本は難しいものが多くて挫折が多いけど、この本は比較的読みやすく、でもしっかり芯のある内容。『動物農場』で、1度物語に入り込んだことがあるおかげで、書いてあることへの共感度が高く、わかりやすさがアップした。特に印象的なのは、「慣れていく怖さ」、「独裁者が政治を進めていくうえで敵づくりが欠かせない」ということ『動物農場』自体はソ連のスターリン体制がモデルになっているけれど、いつの時代もどこの国も人間はみな同じ。決して他人事ではないとぞっとした。もっと勉強しよう、おかしいことに気づける大人にならなくては。2015/04/26
フム
2
この前オーウェルの『動物農場』を読んだ時は、私自身、物語の背景である、歴史についての知識が浅く、消化しきれなかった部分があり、それをもどかしく感じつつ読みました。この本には、歴史の関連事象をまじえながら解説があったので、だいぶ理解が深まりました。歴史や政治がわかるとさらに面白い!2014/09/05
Kazuhiro Inoue
2
『動物農場』原著を読む前に、その解説書を読んだ。面白い! 共産主義や独裁についての理解が深まる。原著(翻訳本ね!)を読む気になった。2012/04/24